中国社会科学院のマルクス主義研究者である趙智奎氏は学術調査研究の過程で、成長の潜在力と発展の活力を最も備えた浙江省では、多くの民間企業経営者が中国共産党組織の拡充を歓迎し、支持していることに気づいた。彼らは「企業に党組織があれば、従業員はさらに団結し、企業はより安定する」との法則を見出したからだ。
一部民間企業の党組織はさらに自発的に紀律委員会も設立した。こうした現象は社会の幅広い関心を呼んでいるだけでなく、マルクス主義理論の研究者をも深く考えさせることになった。
趙智奎氏は「このような新しい事象は恐らく、マルクス本人ですら予見できなかったことだろう。中国社会の発展がもたらした新しい問題については、革新された思考で対処し、解決する必要がある。中国のマルクス主義への理解と研究は、まさに独特の革新の道を歩んできた」と強調する。
また趙智奎氏は「マルクス主義は20世紀初めに中国に入って以降、中国共産党の創設から新中国の建国に至るまで、また社会主義建設の開始から改革・開放の実施、さらには中国の特色のある社会主義の構築に至るまで、異なる中国化の道を歩んできた。発展しつつあるマルクス主義が一貫して中国の革命と建設の実践を導いてきた」と指摘。
新中国を創立した古参革命家はその当初から、社会主義があってこそ中国を救うことができると考えていたが、彼らはマルクス主義の字句をそのまま中国に当てはめるようとはしなかった。毛沢東は、中国は「農村から都市を包囲する」道を歩まねばならず、ソ連の都市部の暴動や武装蜂起のようなやり方を適用することはできないと主張し、この方針が革命の成功を促した。鄧小平は思想の解放と事実に基づく真実の追求を提起し、中国の特色のある社会主義の道を切り開き、マルクス主義が中国化された新たな境地も切り開いたことで、改革・開放という奇跡を創出した。
中国のマルクス主義理論家は、毛沢東思想と鄧小平理論が生み出したのは、マルクス主義の中国化による二度の歴史的飛躍であり、「鄧小平理論」と「三つの代表」という重要な思想と「科学的発展観」を、改革・開放以降にマルクス主義が中国化された成果としての三大理論だと考えている。
ある経済管理学院の学生は「社会主義市場経済、という言葉はマルクスやエンゲルスの著作にも記されていない。これは中国の偉大な創造だ」と話す。
中国共産党中央は2004年初め、「マルクス主義理論の研究と確立プロジェクト」の実施を決定した。これを受けて中国社会科学院に05年、「マルクス主義の中国化」を重点的に研究するマルクス主義研究院が設立された。
貧富の格差の縮小から調和のとれた社会の構築、また経済のグローバル化から社会主義の21世紀での発展の将来性まで、こうした内外で熱心に議論されている話題が、中国の現代マルクス主義学者が関心を寄せる重要な課題となっている。
同研究院の呉恩遠副院長によると、研究者は広東省や浙江省などで国情の調査研究のほか、市場経済や社会構造の変遷、新農村の建設、民間企業従業員の社会保障などの問題を研究しており、大学ではマルクス主義の認識に関する調査研究も行っている。
05年以来、すでに数十校の大学にマルクス主義学院が開設されている。復旦大学社会科学基礎部の桑玉成主任は「新しい歴史的時期に、中国の大学は思想・政治教育を授業に取り入れていくだろう。これは大学生が党の路線や方針、政策を全面的かつ正確に理解するのに役立つ」と指摘する。
北京外交学院日本語学部の学生は「社会主義中国が今、国家の富強と民族の復興に向けて前進していることは、マルクス主義がはるかに遠い学説ではないことを証明するものだ」と話す。
この数年来、政府や企業、国内の大学や国外の研究機関、さらには日本や米国、ロシア、ベトナム、インドなどの共産党、外国の在中国大使館もマルクス主義の中国化の研究に注目している。
呉恩遠副院長は「国力が高まりつつことで、中国の特色のある社会主義という道は一部の国に認められるようになった」と指摘。
ロンドン大学のある教授は「中国は大きな発展という成果を上げたが、いくつかの問題にも直面している。社会主義中国がこれらの問題を解決して発展していく道を見出せれば、世界全体にとって意義があるだろう。中国の発展という成果はマルクス主義を発揚し、輝かせる上でプラスとなる」と強調する。 「北京週報日本語版」
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