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今回は、中国のチベット自治区の省都でもある歴史・文化の町、ラサの八角街を紹介します。
ラサはチベット仏教の聖地です。ラサ市内や近郊には数多くの仏教寺院があります。その中で、大昭寺はチベットに現存する最古の寺院です。チベットを統一したソンツェン・ガムポ王の時代、 647年頃に着工して 650年頃に完成したといわれています。今まで、すでに1300年以上の歴史を持っています。そして、「ラサ」という地名は、この大昭寺の正式な名前から出来たといわれるほど、規模が大きく、人も集まるお寺です。

大昭寺はラサの町の中心部にあります。入場料無料のせいか、参詣者が特に多いです。お寺を囲む街が八角街、またはバルコルと言いますが、そこの賑わいは大変なものです。
バルコルは日本で言う門前町に当たります。チベット仏教には五体投地という祈りの形があります。文字通り全身を大地に投げ出すようにして祈るものですが、この大昭寺には五体投地で祈る信者や巡礼者が大勢集まるそうです。そして、観光客も沢山やってきてにぎやかです。
お寺を囲む街の形ですが、実は八角形ではなく、ほぼ円形です。チベット仏教の教えでは、八角街に沿って、大昭寺を中心に一周すると、お釈迦様を礼拝したことになるとしています。ですから、毎日、マニ車を回しながら、右回りしている人が多いです。
マニ車を回すのは、お経を読むのと同じ効果があるとされています。マニ車を回しながら、大昭寺の周囲を回ることは、つまり、お経を読みながらお釈迦様にお参りしたことになると。より一層仏様に近づくことができるかもしれません。
また、そういうような環境にいると、信者たちの強いオーラを感じて、観光客も思わず、その時計回りのグループに加わるということです。

さて、八角街はラサ一の繁華街として、普通の観光客にとっては、お土産を買い求める最高の場所でもあります。町中に様々な店が軒を並べ、露天の売店だけでも、千軒以上あります。チベット風の衣類や、バターなどの生活用品、刀、アクセサリー、仏具、それから、タンカという刺繍入りの布、絨毯などが売られています。北京大学で勉強しているニュージーランドからの留学生、安美華さんも、ラサに引かれてやって来ました。
「まったく異なる文化を感じました。面白いです。でも、いくら文化が違っても、人間として、心の底は共通していると思います。」

文化は違っても、祈りの心は同じということでしょうか。
八角街は、チベットの宗教と庶民の生活のすべてが展開されるところですから、八角街に行かなければ、ラサに行ったとは言えないといわれます。八角街に行く人々は、よく酒屋のMakeye ameを訪れます。
Makeye ame は、芸術的な雰囲気が漂うちょっと洒落た酒屋です。壁には、絵画や撮影作品、工芸品などを張っていて、本棚には英語や中国語の本が並んでいます。お客さんは、チベットの民族音楽を聞きながら、お酒や料理を楽しむことができます。世界各地からの観光客に評判の店ですから、多くの観光客が訪れるところになっています。酒屋のオーナー、ツェリンワンチンさんの話です。
「八角街では、様々な人と出会えます。実は、ここはインターナショナルなところです。世界各地の観光客は八角街に来て、チベット文化の雰囲気を感じると共に、家に帰ったような暖かい温もりを感じることもできます。」
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