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中国の高考制度と「拆遷」
   2007-06-21 15:54:41    cri

    

 今年は中国で高考制度(大学の入学試験制度)が回復してから30周年に当たります。6月7日から9日までの3日間、全国で大学の入学試験が行われました。

 1966年から始まった文化大革命の影響で中国では大学の入学試験が10年間、中断され、1977年にやっと回復しました。大学受験生の数は毎年増え続け、今年はなんと1010万人になり、史上最高になったそうです。

 私が大学の入学試験を受けた時、受験日は7月のころでした。当時は教室には扇風機だけがありました。扇風機の音と風が妨げになるため、扇風機のかわりに大きな氷が教室に置かれていたことを今でも覚えています。今の受験日は、私の時より一ヶ月ほど繰り上げ、割合涼しい6月になりました。これも、受験生たちに苦労をさせないためです。

 中国の学生達は競争が本当に厳しいです。合格して大学生になっても、今度はまた就職のことで悩みます。就職先が見つかっても、家を買う時またお金のことで悩んでしまうかもしれません。今週に取り上げたい話題は、まさに家と関係のあることです。

 中国語には「拆遷」という言葉がありますが、直訳すれば、古い家を取り壊してと住民を別の場所に移転させるという意味です。北京市はここ数年、都市化を急ピッチで進めていますが、多くの古い町で「拆遷」作業が行われています。

 中国では、土地は国のもので、国民は土地の使用権だけを持っています。これまでの「拆遷」は、市民たちが政府の指示に従わなければなりませんでした。自分の住み慣れた家を離れたくなくても、国家が必要とするなら、引越さなければならないということです。

 しかし、ここ数年、地方では政府の名義を借りて、「拆遷」で入手した土地を乱用する事件が頻発しています。農村部では、「拆遷」を口実にして、耕地を建築用地にすることまでも起きています。古い住宅地を開発して高層ビルを建設する場合にも、行政側と民間企業がいわば協力して、たちのきを求めることがあるそうです。

 一方、このほど開かれた中国全国人民代表大会第5回会議で住宅を含む個人の財産を保護する「物権法」が採択されました。この法律は今年10月1日から正式に施行されることになります。物権法では、公共の施設にする以外の目的で、すでにある個人の住宅を立ち退かせたり、壊したり、建て替えたりしてはならないというような内容が定められています。

 これを背景に、6月9日に、北京市で初めて「拆遷」に関する住民投票が行われました。投票が行われた場所は北京の北にある酒仙橋という古い町で、参加者は5473人もいました。この住民投票は、今までの住宅を取り壊して立ち退くことを認めるかということです。

 この住民投票を説明する前に、中国の住宅事情について少し紹介したいと思います。

 まず、中国では家を持っているといっても、事情がそれぞれ違います。

 1998年前に、ほとんどの人は日本の社宅と似た家に住んでいました。こういう住宅に住む人は毎月小額の家賃を会社に払います。しかし、定年退職になっても、その家を会社に返す必要はなく、子供がそれを引き継ぐこともできます。これらの住宅をとりあえず住宅1にしましょう。

 (住宅1は賃貸住宅でありながら、代々の居住権を認めるという、半分分譲住宅みたいなものです)

 1998年から住宅改革が始まり、会社が社宅を提供する必要がなくなりました。そこで、個人が住宅を購入しなければならなくなりました。商品房・つまりローンで家を買うことが流行ってきました。これらのローンで買った家を住宅2にしましょう。 

 (住宅2はローンを組んで買った分譲住宅です)

 ここ数年、住宅1つまり会社から与えられる住宅を対象とした改革が行われています。一部の住宅1は、その所有権が会社から個人に売却され、住宅2と似たようなものになりました。しかし、これを購入する際に払う金額は、同じ面積の住宅2の頭金よりも少なくて済むのが普通です。これら住宅1をベースにして生まれた分譲住宅を住宅3にしましょう。

 (住宅3は、少し安い値段の分譲住宅です)

 住宅2と住宅3は売買と譲渡ができます。住宅1だけは売買することができず、その譲渡も家族にしかできないというわけです。

 住宅事情の説明はこれぐらいにして、今回の「拆遷」についての住民投票を見てましょう。

 今回の住民投票が行われた酒仙橋の住民のほとんどは、住宅1と住宅3に住んでいます。そのうち、住宅1の場合が最も多く、凡そ8割以上を占めています。

 住宅1の住民のほとんどは「拆遷」に賛成します。なぜかというと、「拆遷」したら、今の家よりもっと広い家を格安の値段で買うことになるからです。でも、これぐらいのお金も出せない貧しい人たちも住んでいます。これらの貧困層は立ち退きの補助金の解決しない限り、「拆遷」には賛成しません。

 また、住宅3に住んでいる人のほとんども賛成しません。さきほど紹介したように、1998年から住宅3がだんだん生まれてきました。住宅3に住んでいる人たちは自分が買ったばかりの家が取り壊されることなんて、いやでしょう。

 ほかにも色々複雑な事情があります。簡単に言うと、今回の住民投票を通じて、関係部門はみんなの意見を一致させようとしています。

 過半数の住民が賛成すれば、「chaiqian」作業が予定通りに進むだろうと世論は見ています。しかし、関係者は今回の投票結果を参考にするだけと強調しました。

 ところが、投票の結果、5473票のうち、賛成2450票、反対1228票、無効32票、棄権1700票余りでした。賛成は過半数に達しませんでした。

 大多数の市民の意見を尊重し、少数の市民の利益を損なうというやり方も不適切だと考えて、関係部門はこれからまた慎重に市民たちと交渉を行っていくそうです。(作成:姜平)

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