今日は、合肥2日目。市政府関係者の方々に招かれ、レストランでの昼食です。中国では、大人数の場合、丸い大きなテーブルを囲んで食事をします。そこに、料理がどんどん運ばれてくるのです。
今回は、私たち日本語部のほか、ロシア語部・英語部・ドイツ語部・スペイン語部・ブルガリア語部といった各言語部の記者が合同で取材をするという形式でした。国籍もバラバラの私たちにとって、現地でどんな料理が食べられるのかはいつも関心の的です。
さて、今回、合肥の食事の特色を垣間見ることができました。
(あっさりしたカブ漬け)
まず感じたのは、野菜が多く、味付けがあっさりしていること。たとえば、前菜で出てきたカブ(中国語では水夢卜shu?luóbo)の酢漬け(写真)。ピンク色に染まった、桃の花のような美しさに魅かれ、さっそくつまんでみました。甘酸っぱくあっさりとした味で食べやすく、歯ざわりもサクサク。思わず2つ目を口にしました。早速、同行していた末永さんに勧めてみると、末永さんは「日本の漬物みたい!懐かしい」と、美味しそうに食べていました。砂糖漬けしたあと、酢や唐辛子で味付けたものだと思います。料理が苦手な私でも作れそうな、簡単でシンプルな前菜ですが、思わずご飯が進む美味しさです。カブをはじめ、青菜や青豆など、旬の野菜で食卓は彩られていました。季節感を大切にした料理は、日本食に通じるところがあるかもしれません。
(干物を使った料理)
さて、続いての特徴は、キノコ類をよく使うことでしょうか。エノキ(中国では金針菇jīnzhēngūと発音)とトマト、そして牛肉を煮込んだ鍋物が出てきました。トマトの真っ赤なスープと、白いエノキ、この組み合わせは北京ではあまり見かけません。トマトの甘みと牛肉のコクが、エノキの美味しさを引き立て、何杯もいただける味わいでした。
また、魚料理が多いのも特徴です。特に、塩漬けした小魚の干物を使った料理は、よく食べられているのだそうです。今回出てきたのは、干物を戻してから、唐辛子と合わせて炒めた料理でした。私は東北出身ですが、幼いとき、母が、お弁当のおかずに入れてくれた料理に似ていて、なつかしかったです。
「白いご飯に良く合うね」と、末永さんもパクパク食べていました。
(蕎麦で作った饅頭も主食としてよく食べる。ピリ辛の野菜をはさんで、サンドイッチ風に)
最後に主食ですが、饅頭の形をした黒っぽいものが、お皿の上に並べられていました。ちょうど黒砂糖のような色です。初めて見ました。「これは何でしょうね?」と末永さんも興味を持っていたので、店員さんに尋ねたら、お蕎麦の饅頭でした。饅頭といっても、中国では餡が入っているわけではありません。しかも、裏返すと、中が空洞になっています。この空洞の中に、味噌やひき肉、唐辛子を合わせたもの(中国語では炸醤zhájiàng)を入れて食べるのだそうです。
お蕎麦(?麦qiáomài)は麺にして食べるとばかり思っていましたが、こんな食べ方もあるのだとビックリしました。末永さんも日本のことを思い出したのか、神妙な面持ちで、蕎麦の風味を味わっていました。
前菜にしても、炒め物にしても、スープにしても、何でも美味しくいただけました。疲れが取れ、満たされた気持ちになりました。北京から遠く離れた合肥で、やさしい「おふくろの味」に出会ったような気がします。この街の食に感心するとともに、この街に親しみを感じることができました。
(文 朱丹陽)
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