5日、第10期全国人民代表大会第5回会議の開幕式で、温家宝首相は政府活動報告を発表し、「漢方医学や民族医学の発展に力を入れ、中国の伝統医学が病気の予防、治療に重要な役割を果たしていくようにする」と強調しました。
漢方医学は国の重要な非物質文化財です。では、いま、その発展状況はいったいどうなっているのでしょうか。現代社会の中で、伝統の漢方医学はどんな役割を果たせるのでしょうか。全人代代表、北京中国漢方医病院の元院長、中国漢方医大学の李乾構教授にお話を伺いました。
[漢方医学の発展現状]
李乾構代表によりますと、いま、中国の漢方医学は順調に発展しています。関連法規では、伝統医薬と現代医薬の発展をともに重視すると定められており、国も漢方医学の発展にさまざまな支援措置を講じているということです。
具体的な発展状況について、李代表は次のようなデータを挙げました。
「現在、漢方医病院は全国に3009ヵ所あり、ほとんどの県(日本の町にあたる行政区画)に漢方医の医療施設があります。漢方医学や民族医学の人材を育成する大学は全国に32校あります。ほぼすべての省にこうした大学があるといえます。そのほか、漢方医学の専門学校が45校あり、現在、こられの大学や専門学校で漢方医学を勉強している学生は45万人います。また、毎年、中国では、2億3300万人の患者が漢方医の治療を受けています。これは全国の医療門診の3分の1を占めています」
一方、李代表は漢方医学の発展に不利な点も多く挙げました。
「例えば、全国3009ヵ所の漢方医病院のうち、大多数は県や郷(日本の町、村に当たる行政区画)の医療室を改築したもので、医療設備や医療環境が立ち遅れています。また、現在、全国31の省、自治区、直轄市のうち、13の省には漢方医学の管理機構がありません。2003年、国務院は「漢方医学の管理条例」を公布していますが、法整備は不十分といえます。」
今年70歳の李乾構代表は中国漢方医学界の権威で、ここ数年、漢方医学の法整備に全力を注いでいます。去年の第10期全人代第四回会議では、李代表をはじめとする452人の代表が14項目の漢方医学に関する議案を政府に提出しました。これについては次期の全人代で審議される見通しです。(つづく)(文/取材:劉叡琳)
|