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「故きを温ねて新しきを知る」
   2005-07-05 14:37:10    cri

 今から60年前の1945年8月15日、第二次世界大戦を起こした三つの国の一つ日本が、無条件投降し、それまで8年間続いた中国の抗日戦争が勝利を収めました。この日は中国の近代史における非常に重要な記念日になるだけではなく、侵略から国を守るこの戦争に参加したアジアの他の国々にとっても重要な記念日ともなっています。

 この反ファシズム戦争の勝利60周年に当たるときに、ヨーロッパでは、ドイツやイタリアなど第二次世界大戦を起こした国をも含む多くの国で記念イベントが相次いで行われ、アジア各国でも、これから色々な記念イベントが行われることになっています。

 これに先立って、元外務次官であり、日本駐在の元中国大使であった徐敦信氏は、北京放送のインタビューに応え、中国がこの戦争勝利60周年を盛大に祝う目的とその意義、また、中国の外交政策における中日関係の位置付けなどについて見解を述べました。

 徐敦信氏は1934年生まれ、江蘇省揚州市の出身です。復旦大学の英語学科と北京大学の東アジア言語学科をそれぞれ専攻し、1964年外務省入り。アジア局局長と外務次官を歴任したあと、1993年4月から1998年6月まで日本駐在中国大使を務めていました。

 まずは、中国が抗日戦争勝利60周年を記念する意義と目的について徐敦信氏は、「60年が過ぎ去っていった。この60年をまとめてみると、まず、政治的には、中国は独立し、人民が国家の主人公になっている。そして、経済的には、中国は大きな発展を遂げている。抗日戦争勝利60周年を記念する意義と目的は、一言で表せると思う。それは、日本の方もよくご存じの『温故知新』、つまり、『故きを温ねて新しきを知る』ということである。弱い方が虐められることを改めて認識すると同時に、平和を獲得する難しさとその大切さをもう一度確認することだ」と話しています。

 ところで、中国が抗日戦争勝利60周年を記念することは、中国がこれから大国主義の道を歩み、日本に脅威を与えるのではないかという懸念について徐敦信元外務次官は、「それは全くの誤解で、そのような懸念を持つ必要はない。中国が抗日戦争勝利60周年を記念するのは、国民に愛国主義の教育だけでなく、国際主義の教育をも行うためだ。」

 「中日両国は半世紀に亘って戦ってきたが、それに比べ友好の歴史は2000年以上にもなる。日本軍国主義による戦争は中国だけではなく、日本の一般庶民にも大きな被害をもたらした。中日両国の指導者は、両国の歴史全般を振り返り、『協力すれば共栄をもたらし、対抗すれば互いに傷つく』とまとめたのである。」

 「1972年の中日国交正常化以来、両国は確かな利益を得てきた。それに比べ、戦争が中国にどれだけ被害をもたらしたのかは言うまでもなく、戦争は日本の国民にも何の利益をももたらしていない。これが事実である。抗日戦争の勝利60周年を、日本では、『戦後60周年』或いは『終戦60周年』と言うそうだが、この日を一つの契機として、戦争の教訓を私たちは改めて受け止めるべきではないかと思う。」

 「戦後、日本は軍事力で海外へ拡張することを止め、平和的に発展する道を歩んできた。昔の軍事拡張のやり方はいけないという点では、日本の国民には中国の国民よりもっと深い理解があると信じている。昔の誤った道に戻ってはならず、現在の平和発展の道が唯一で正しいもので、それを引き続き歩んでいくべきだ。この問題で猶予せず、後退しないことは現在の中日関係及びアジア太平洋情勢にとっては非常に現実的なものである」と話しています。

 中日関係の中国の外交政策における重要性について、徐敦信元外務次官は次のように話してくれました。

 「中国は日本との関係を一貫して重視している。歴代の中国指導者はこの問題ではいずれも動揺したことはない。『歴史を鑑にし、未来に目を向ける』という精神を踏まえ、平和共存の五原則を遵守し、両国の善隣友好関係を発展させることは中国側の真摯な願いである。」

 「中国と日本は隣国であることから、日本との関係は中国にとって最も重要な二国間関係の一つとなる。日本は中国の隣にある大国であり、唯一の先進国でもある。中国が日本との関係を重視するのは国益を守るためだが、これは、日本の国益と日本国民の利益を守ることとは矛盾しないと思う。」

 「中国の当面の急務は経済を発展させ、国民の生活レベルを引き上げることだ。その実現には、安定した国際環境、特に周辺地域の環境が必要となる。中国の周辺環境と言えば、日本との関係が最も重要となるのは言うまでもない」と語っています。

 日本では、一部の人が「ほかの国との関係がうまくいけば、中国との関係がよくなくとも、日本の国益は守ることができる」と主張していますが、これについて、徐敦信元外務次官は次のようにコメントしています。

 「日本の歴史や国益をみると、以上のような見解は非常に有害で、誤っていることがわかる。中日両国はまず隣国であるので、ある家庭が隣近所との関係がうまくいかないので、他所へ引っ越すというようなことは出来ない。つまり、地理的な位置を変えることがないのだ。これまでの歴史の経験がはっきり証明しているように、中日両国の関係が悪くなれば、お互いへの損害となるのである。」

 「いま、中国は近代化実現のため、日本の先進的技術を必要としている一方で、日本はその経済の繁栄を維持するため中国という巨大な市場を必要としており、また、国際問題でより大きな役割を果たすためにも、中国の支持と協力を必要としている。日本の多くの有識者は必ずこの事実を認めているだろうと思う。」

 「しかし、日本の一部の人は、日本がアジアの一員であるということを認めたがらない。つまり、アジアから離脱し、ヨーロッパの仲間入りしようという『脱亜入欧』の動きが一時的に見られた。この動きには歴史的な背景がある。(明治維新以降、日本経済はその急成長のため、先進的な科学技術、知識と資金などを必要としていた。しかし、当時、アジアの他の国のほとんどは植民地或いは半植民地という状態にあったために、日本はヨーロッパから資金と技術を吸収するほかはなかった)しかし、今では、世界情勢は大きく変わり、アジアの多くの国は政治的に独立しただけではなく、経済も速いスピードで成長しているのだ。(また、地理的にもつながりを持つことから、アジア諸国との関係をうまく処理することは日本にとってとても重要なこととなっている)」

 「最近、日本では、『脱亜入欧』説に異議を唱える『アジアに戻ろう』という声が高まり、私はこれに注目している。日本はアジアを離れて独自に繁栄していくことはできないのだ。したがって、アメリカやEU諸国との関係だけを発展するのではなく、中国を含む東洋諸国とも良い関係を築くよう日本政府に希望する」と話しています。

 次に最近に中日間に見られたギクシャクした関係について、徐敦信氏は中日間には三つの問題が存在するとして次のように語りました。

 「まず、日本の指導者の靖国神社参拝で、中日間のハイレベルの交流はこれまで3年間ほど停止した。次に、台湾問題では、いまの日本政府の政策には後退する傾向が見られ、これは中日両国をまたも対抗という状態に戻らせる非常に危険な傾向だ。台湾問題は中国にとって、一般問題ではなく、核心的利益にかかわる問題なのだ。第三は、中日両国の民間交流はかつての良好な基礎の上に盛んになっているが、国民間の感情はいくらか冷たくなった。これはあってはならないことで、私たちは非常に心を痛めている。」

 「もちろん、中日両国間の問題はこれら以外に、歴史、経済、及び両国のそれぞれの発展方向への懸念などがあるが、私の考えとしては、中日間の三つの共同コミュニケを真剣に遵守しさえすれば、これら問題は解決できないものではないと思う」と語ってくれました。

 最後に、徐敦信元外務次官は中日関係の見通しを日本語で次のように締めくくってくれました。

 「寒い冬がやってきた以上、春はもう遠くないといわれておりますが、中日関係の暖かい春を迎えるためにともに頑張りましょう。」

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