米プロバスケットボール協会(NBA)のミルウォーキー・バックス(Milwaukee Bucks)は4月4日、昨年入団した中国代表の易建聯(イー・ジェンリェン)が2日の試合で左ひざの靭帯(じんたい)を痛めたため、レギュラーシーズンの残り8試合を欠場すると発表しました。
同チームはプレーオフ進出をすでに逃していることから、易建聯はNBAでのルーキーイヤーを早くも終えたことになります。
易建聯は、昨年6月、NBAドラフトの全体6位でミルウォーキー・バックスから指名され、中国人として王治ジ(ワン・ジジ)、姚明(ヤオ・ミン)、巴特爾(バタール)に続く4人目のNBAプレーヤーとなりました。
新人のとき、言葉で苦労した姚明と比べ、易建聯は、ある程度の英会話能力を身につけているため、入団当初からコーチの戦術理解やチームメイトとのコミュニケーションは、ほとんど問題なかったということです。それに持ち前の俊敏な動きと正確なジャンプシュートを活かして、新人ながら、いきなり主力としての活躍を見せました。特に昨年12月22日のシャーロット・ボブキャッツ戦では、29得点12リバウンドを記録し、NBA開幕後、わずか2ヶ月で早くも個人初のダブル・ダブル(得点・アシスト・リバウンド・スティール・ブロックショットの5項目のうち2項目で二ケタを記録すること)を達成するなど、チームの中心選手として台頭してきたのです。
しかし、さすがにプロバスケ世界最高峰のNBA。中国国内ではトップ選手とはいえ、NBAの世界でワンシーズンをフルに戦うのは難しかったようです。ハードな試合日程や毎回の体を張ったプレーの疲れがたまり、シーズン後半からはFG成功率が極端に落ち、出場時間が減りました。いわゆる「ルーキー・ウォール」=「新人の壁」にぶつかりました。
易建聯のポジションは「パワーフォワード」。これには、体の大きさや強さを生かし、ゴールエリアの近く、インサイドに入っていってシュートを放つことが要求されています。しかし易建聯はまだ強さ・技術とも不足しているため、ゴール下に切り込むことができず、得点は、ゴールから離れた場所から放つ「ミドルシュート」が多かったのです。212cmの身長を持ちながら、いつも外からシュートを放っていたらもったいないとの批判の声がNBAの評論家から挙がっていました。
易建聯にとって、決して完全な「成功」とはいえないルーキーイヤーとなりましたが、世界最高レベルのバスケを経験し、精神面や体力面で鍛えられたことから考えると大きな成果がある一年といえるでしょう。
来シーズンまでにNBAの激しいぶつかり合いに耐えられるよう身体能力を強化することが求められていますが、何といっても今は、母国で開催されるオリンピックに向けた準備がなによりも大切です。
大黒柱の姚明もケガで漢方医学の治療を受けていますが、二人ともぜひ8月までに復帰し、北京五輪で中国代表を好成績に引っ張っていってほしいものです。(編集・翻訳:鵬)
プロフィール
名前:易建聯(イー・ジェンリェン)
誕生日:1987年10月27日
出身地:中国・広東
身長:212cm
体重:110kg
ポジション:PF・SF
背番号:11(中国国家代表)、9(NBAミルウォーキー・バックス)
NBA新人シーズン記録(1試合平均):
66試合出場(うち、49試合先発)、8.6得点、5.2リバウンド、FG成功率42.1%
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