「川劇」の「変顔」（秘伝）まで東四の「露天ショー」に登場

　5月2日に、五輪聖火が香港に到着し、海外でのリレーを終え、中国に戻りました。

　今週は、北京五輪のメインプレスセンターと放送センターのメイン工事の完成、ボートの五輪アジア予選で中国選手が男子シングルスカルの五輪進出が決定、北京五輪のバスケットボール組み合わせ抽選で中国男子と女子がいずれもアメリカと対戦することになりました。

　北京五輪のMPC・メインプレスセンターとIBC・国際放送センターはこのほど、メイン工事が竣工し、北京五輪組織委員会の運営グループが中に引越しをしました。ペン、撮影と五輪の放送許可を得ていないマスコミの記者の主な仕事場であるメインプレスセンターは、内装と通信回線の敷設がこれからも続き、5月末までに終わる見込みです。開催期間中、世界各国から来た5600人以上の記者がここで働くことになります。

　五輪の放送許可を獲得した放送局の仕事場となる国際放送センターは、五輪の放送信号を独占して提供する北京五輪放送機構（BOB）の作業場の内装が終わり、17日に同機構の200人以上のスタッフを迎えました。各国の放送局のスタジオは6月下旬前までに内装が終わるそうです。

　北京五輪のMPCとIBCは、開幕式を行う国家スタジアム、の近くで、北京の北側のオリンピック公園にあります。この二ヶ所は、7月8日、つまり五輪開催の一ヶ月前から正式にオープンし、9月17日まで3ヶ月間にわたって運営されます。

　また、上海で行われていたボートの北京五輪アジア予選が27日閉幕しました。中国の張亮選手が男子シングルスカルで7分41秒07の成績で優勝し、五輪への進出を決めました。これで中国は北京五輪のボートの9種目の参加資格を獲得したことになります。

東四の五輪広場で露天ショーを楽しんでいる住民たち1

　2008年北京五輪の女子ホッケーの二次予選が昨日までロシアのカザンで行われました。アメリカは決勝戦で3対1でベルギーを破り、6戦全勝で優勝し、北京五輪出場を決めました。同じ日、オランダ領アンティルが2対1でインドを破り、第3位となりました。同大会の開催国ロシアは2対1でフランスに勝ち、5位に入りました。フランスは全敗で最下位となりました。北京五輪に出場する女子ホッケーのチームは、あと、ひと枠残っており、5月4日に、イタリア、韓国、アイルランド、カナダ、マレーシア、ウルグアイがそれを争うことになります。

　ところで、北京五輪のバスケットボールの組み合わせ抽選会が先月の25日、北京で行われました。中国男子はアメリカ、スペインと同組のB組に、女子は、アメリカ、マリとニュージーランドと同組のB組に入りました。中国男子は北京五輪で上位7位に入ることを目標としており、また女子はメダル獲得を狙っています。

　この抽選会は、女子バスケの五輪テスト試合の決勝前に行われたもので、中国、オーストラリア、アメリカから4選手がゲストとして参加しました。現在、北京五輪の出場権を得たのは男子9チーム、女子7チームで、最終的には、女子が6月のスペイン、男子は7月のギリシャでの最終予選で決定します。

　最近のスポーツと五輪関係の情報を振り替えた後に、東四の五輪英語教室のことを紹介しましょう。

　4月30日は水曜日で、北京五輪開催の100日前です。北京市では1万人規模の市民マラソンなど、政府主催による大規模な祝賀イベントが行われました。

東四の五輪広場で露天ショーを楽しんでいる住民たち2

　一方、天安門広場の東北にある東四では、午前中、地元の住民たちが自ら主催した小さな祝賀イベントが行われました。

　東四は、元と明の時代の平屋がそのまま保存された地域で、面積は1.65平方キロ、住民は約4万8000人です。2001年に、北京が2008年の五輪招致に成功し、2002年に、北京五輪組織委員会のオフィスが東四にできました。そこから、東四は中国初の「五輪コミュニティ」と言われるようになりました。

　2003年から、住民委員会の責任者は政府と掛け合って、予算を取り、その資金でインフラ整備に力を入れました。総面積1万平方余りの緑化ゾーンを整備したり、住民が安く利用できるスポーツ施設などを作りました。東四を訪れる外国の観光客が増えたのはもちろん、会員制のプライベート・クラブに改造された平屋も現れました。

　下町の特色、五輪コミュニティの愛称、近づいてきた北京五輪、東四の住民たちは、英語を少しでも話せたほうがいいと考えるようになりました。そこで住民委員会は2003年に、英語教室を設け、住民に英語の授業を受けてもらうことにしました。

　4月30日の朝9時、東四住民委員会活動センターは、鮮やかなピンク、紺色と黄色のTシャツを着た80人余りのお年寄りでいっぱいになりました。今日はここで発表会が行われます。参加者は住民委員会にできた英語教室に通っている住民で、リタイアした年配者が中心となっています。みんなは、中国語と英語で、さまざまなパフォーマンスを披露し、自分の英語力を見せようとします。出演者も、観客も住民です。

　一番最初にステージに上ったのは12人の女性グループで、最も若い人が50歳、最年長の人が70歳です。彼女たちは、「北京の微笑」という五輪をテーマにした歌を二つの言語で合唱しました。途中、歌詞を忘れたり、英語の発音を間違ったりしていましたが、元気な歌声が印象に残りました。

東四の五輪広場で露天ショーを楽しんでいる住民たち3

　「おはようございました。北京は初めてですか」とちょっと変な英語が聞こえました。これは、６人が演じた、道案内のコントです。コントの中で、道を尋ねた外国人を演じた支立紅さんは64歳、実際に外国人の案内をしたことがあり、自分の経験を次のように話しました。

　「去年8月に、人の紹介でアメリカから来た4人家族が家にホームスティした。私はこの四人を連れて北京市内を見学したり、買い物したりした。私の英語はまだまだだが、それでも役立った。単語しか出てこないことがあったが、相手がちゃんと分かってくれて、助かった」

　80歳の余殿貴さんは最年長で、英語の勉強は苦手ですが、76歳の奥様・任志勤さんと一緒に勇気を出して英語による大合唱に参加しました。余さん夫婦は普段も積極的にコミュニティの活動に参加しています。二人はリタイヤしたどころか、かなり充実した暮らしを過ごしているようです。

　「何でも勉強したい。英語、編み物、踊り、何でも。月曜日は歌、毎日体を鍛えている。太極拳の動作を基にした扇子踊り、フラダンス、毎日の内容はそれぞれ違うよ。土日だけ休みだが。平日は、午前中は8時半から10時まで、午後は歌の練習もある。木曜日になると、みんなと一緒にコミュニティ内をパトロールする。治安のためだ。私はリタイヤしてから24年目になりますが、ずっと休んでいないよ」と余さんの奥さん、任さんは話しました。

　余さん夫婦は無料で、住民委員会が主催した様々なクラスに参加できますが、その代わりに余さん夫婦も治安のパトロールをボランティアでやります。こういうやり方は、中国のコミュニティでは普通ですが、東四のプログラムはなかなか豊かだと思います。

五輪英語教室の中級者たち

　この発表会で、10歳の小学校2年生の唐暁蘭さんは最年少の参加者であり、英語が最も上手な参加者でもあります。唐暁蘭さんは英語の詩を朗読しました。唐さんは英語で自己紹介をしてから、北京の街についての紹介をし、合わせて、一人の小学生として五輪に対する意気込みを語りました。唐さんが発音もイントネーションもなかなか素晴らしく、大きな拍手を浴びました。

　17の出し物からなる発表会は1時間半にわたって行われました。みなさんに、「どうして英語を勉強するのか。英語は役立つか」と聞いたら、住民たちは次のように教えてくれました。

　女性の住民1：「外国人に、北京の人が中国語しかしゃべれないなんて言われたくない」

　女性の住民2：「今回の北京五輪は一つのきっかけで、みんながこれを利用してきちんと英語を上達する必要がある」

　女性の住民3：「五輪がなくても、英語が必要だよ。これからも、英語は活用できるから」

　女性の住民4：「みんなの英語は五輪の英語教室に通うことで、初心者から中級者に上達してきたが、これはいいスタートだ。これからもどんどん上達を目指すべきだ。五輪が終わっても、みんなが集まって、英語を勉強していく」

　多くの住民にとって、「五輪で大勢の人が北京を訪れるが、海外から来た人と会話ができる。とっさのときでもなんとか助けになるだろう」というのが英語を勉強する理由です。東四の英語クラスは、住民委員会の活動センターを教室に使い、英語専攻の大学生ボランティアに先生になってもらうことで、授業料を取らずに5年間続いてきました。これまで英語教室に通った人は延べ2万人で、最年長は90歳、最年少は6歳だそうです。（文：KH）