北京五輪サッカーの1次リーグ組み合わせ抽選会が20日、北京で行われ、開催国の中国男子はニュージーランド、ブラジル、ベルギーとC組に入りました。

　抽選結果について、中国サッカー五輪代表のドゥイコビッチ監督は、「まずまずの結果だ。対戦相手はそれぞれプレースタイルが大きく違っていてどこも甘く見てはいけない。とにかく、ブラジルとともに決勝トーナメントに進む」との決意を述べました。

　北京五輪には、23歳以下の代表を主体としたチームが出場します。このチームは、両サイドからの攻撃を軸としながら、中盤での正確なパスやテクニックのあるドリブルを活かし、全体としてテンポの速いプレーが持ち味です。司令塔の陳涛(中国リーグの長沙金徳)のほか、FWの朱挺(大連海昌)、MFの周海浜(山東魯能)、DFの馮瀟霆(大連海昌)などが主力です。

　ただこれまで、彼らの年代は海外合宿での乱闘や、飲酒運転疑惑など、いろいろな騒ぎを起こしてきたチームでもあります。彼らは五輪本番で、一体どんなプレーを見せるのでしょうか。

　この年代のチームは2005年、オランダで開催された20歳以下ワールドカップで、中国のサッカーファンを熱狂させたことがありました。1次リーグでは、トルコ、ウクライナ、パナマを下して3連勝。その後、ドイツに2ー3で逆転負けし、ベスト8進出はならなかったのですが、スピードやパワーを保ちながら選手間の連携もうまく取るプレーに、拍手が送られました。「欧州で流行の攻守を素早く切り替えるプレッシングサッカーだ」「これで3年後の北京五輪が期待できる」との声が上がっていました。

　出発前にはまったく知られていなかった少年たちは一躍、ヒーローになりました。しかし彼らは、称賛を浴びると自惚れてしまったようです。中国のプロリーグで、主審の判定に不満があると罵ったり、ファウルを受けると相手に仕返したりするなど、技術が成長しないまま癇癪(かんしゃく)だけが強くなっていました。

　そんな中で2006年10月、セルビア人のドゥイコビッチ氏が監督に就任。ドゥイコビッチ監督は、試合に臨むときの「闘志」を求めました。しかし、これが「怒りっぽい」若者たちには、逆に「火に油を注いだ」ようです。去年2月に行ったイングランド2部のクイーンズパーク・レンジャーズとの練習試合には「乱闘」騒ぎを起こし、世界中に報道されました。

　その後、中国サッカー協会から厳重注意や出場停止などと処分され、なんとか規律が回復されました。

　こんな「問題児」たちですが、北京五輪でどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。迫力のある攻撃は魅力的ですが、試合中のペース配分にまだまだ課題があるようです。ただそれよりも、不利な状況にあっても「怒り」を抑えて冷静に対応できるかが課題となります。

　国際大会でよい思い出が極めて少ない、かわいそうな中国のサッカーファンに応えてもらえるよう、サッカー協会の南勇副会長の言葉を送りたいと思います。

　「中国男子は、開催国だったから出場できたわけだ。このチャンスを大事にして、全身全霊をささげて戦い、応援してくれる人が満足できるようなプレーをしてほしい」。

中国男子代表の北京五輪1次リーグ対戦日程：

8月7日(午後7時45分)　ニュージーランド　瀋陽五里河体育場

8月10日(時間同上)　ベルギー　瀋陽五里河体育場

8月13日(時間同上)　ブラジル　秦皇島オリンピック体育センター体育場