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2006年の夏、ドイツで行われたサッカーワールドカップの熱気は世界各地の人々を魅了しました。残念ながら、今回のワールドカップでは中国チームの姿を見ることは出来ませんでしたが、でも、ある中国企業は自らの力でWカップ市場に参入し、中国製品の新たな伝説を作りました。それは中国大連の路明グループです。
路明グループはモニター製造業においては中国で有名な企業です。2003年、アメリカのAXT社を買収して、世界的に名を馳せました。AXT社は世界4番目のブラウン管チップの生産企業で、AXT社の買収によって、路明グループはブラウン管チップの生産技術を手に入れ、40項目以上の特許技術を手にして、世界的なLED超大型スクリーンの生産企業となりました。
路明グループは2004年、大連サッカー場に200平方メートルの超大型LEDスクリーンを作ったことがあり、そのスクリーンはアジア一の大きさを誇り、これまで一度も故障したことがなかったからです。また、2005年、路明グループは中国映画博物館の展示ホールに延べ2000平方メートルの超大型モニターシステムを作り、世界的なモニター企業になるための第一歩と言われていました。このような業績から考えると、Wカップへの入札は当たりまえのことではないかと社員達は思ったのです。
社長が心配する一方で、職員たちはやる気満々でした。大連は中国で「サッカーの都」と呼ばれ、路明グループの超大型スクリーンがもしWカップの会場に登場できれば、職員だけでなく、市民の誇りともなりからです。

2005年10月末、ドイツ側の視察団が路明グループを訪れ、生産現場を視察しました。視察の結果、生産環境や製品の品質保証など、いずれもドイツ側の基準に従って見直すことを求められました。このような要求を満足するためには、生産ラインや工場の施設など、いろいろな改善を行わなければならず、少なくとも1千万元の資金投入が必要になったのです。
もとの入札予算は5、6百万元だったのに、実際には、生産現場の改造だけでも1千万元もかかりそう。このような情況に直面し、路明グループは再び岐路に立たされました。
これほど膨大な資金投入が必要となり、しかも入札の結果がどうなるかは予測できません。路明グループは如何にこの難題を解決してWカップ市場に参入出来たのでしょうか。続きをぜひお楽しみください。(つづく)
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