台湾では「新力」という中国語訳名で知られるソニーが、中国大陸では「索尼」で表現されています。それと同じ作戦を取った会社が他にもあります。ベンツです。
ベンツも、新しい漢字ブランド名を武器に中国大陸市場に進出しました。それまでベンツは、香港では「平治」、台湾では「賓士」という訳語を使っていました。語学的な基準だけから評価してみると、香港の訳名はやや平凡で、台湾訳の方には上品らしさが感じられます。「賓士」という二文字から、人々は「賓客」、「紳士」などの言葉、さらに男性の地位と身分を連想できます。そこにさりげなく高級車のイメージを浮かび上がらせようとしたのでしょう。
しかし、その訳名のセールスポイントは、同時に大きな問題点にもなる可能性があります。それは消費者を差別することに繋がる恐れがあるからです。ベンツを使わない消費者は「賓客」、「紳士」ではないとでも言うのでしょうか。もちろん、答えは否です。平等を建前とする社会主義の中国大陸では、万一こうした問題で消費者に噛みつかれたら、ベンツにとってはイメージダウンになるでしょう。そこまで考えたのかどうかは分かりませんが、ベンツは中国大陸進出に当たっては「奔馳」という新しい訳名を使うようになりました。消費者に対する差別につながりかねない心配を解消し、疾走することを意味する熟語を利用したこのブランド名は、力強い名訳だと思います。
食品:
エビアン Evian 依雲
オリオン Orion 好麗友

オレオ Oreo 奥利奥
キャドバリー Cadbury 吉百利
サンキスト Sunkist 新奇士
セブンアップ 7-Up 七喜
タング Tang 果珍

ハインツ Heinz 亨氏
フェレロ Ferrero 費列羅
ファンタ Fanta 芬達

ミリンダ Mirinda 美年達
スプライト Sprite 雪碧

コカコーラ Coca-cola 可口可楽

ペプシコーラ Pepsi-cola 百事可楽

ナビスコ Nabisco 納貝斯克
プリングルス Pringles 品客

リプトン Lipton 立頓

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