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(六)「あの世からのお返し」ー1
   2008-05-20 15:44:33    cri
 今度は「還冤記」という書物から「あの世からのお返し」です。

 「あの世からのお返し」(太楽伎)

 時は宋の元嘉年間、秣(まつ)陵というところではでは李竜ら盗人が夜に金持ちの家に入り、家のもの殺したり怪我させたりして、かなりの金を奪っていった。当時の秣陵の県令は陶継之といい、部下に調べさせ、まもなく李竜らを捕まえさせた。ところで、太楽伎をいう若者がいて、李竜らが金持ちの家で強盗を働いていたそのとき、家の前を通ったことを部下が突き止めた。そして部下たちはなんと太楽伎を李竜らの仲間だとして捉えてしまったのだ。

 で、陶継之はこれを細かく調べもせず、なんと太楽伎をこれら盗賊の一味だと決めつけ、牢獄に放り込み、まもなく李竜らと一緒に処刑するとかいたものを州の役人に送ってしまった。

 実は盗みがあった夜、太楽伎は友達の家で何人かと飲み食いして買えるところだったので太楽伎は盗みとはかかわりがないことを友達たちが役所に申し出た。そこで陶継之はこれはいかんと思ったものの、すでに処刑することを州に知らせてしまった後なので、それを取り消すのは県令として恥だと思い、知らん顔をしていた。

 こうして処刑の日が来た。太楽伎はこの日が来るまで何度も自分が無実だということを取り調べのときや牢内で必死に訴えたが、相手にされなかったので、自分が死ぬことを覚悟していた。そして広場で処刑される前に太楽伎は、向かいの上段に座っている県令の陶継之に声を大きくしていう。

 「県令さま!わたしは幼いときから悪事を働いたことがなく、わたしの友達もわたしが罪なきことを申し出たのに、なんと今日ここで処刑されるとは思っても見ませんでした。仕方がないので、あの世でわたしのことをはっきりさせ、もしこの世に化けて出られれば、きっと事仕返しをいたします。覚えておいて下され!」

 これを聞いた陶継之は困った顔をしただけで黙っている。そして処刑を見物に来た多くの人は太楽伎の無実を知っているので、これを見て涙を流した。こうして太楽伎は李竜らと共に首をはねられてしまった。

 さて、それから一ヶ月ほどたったある日、陶継之が、部屋でお茶を飲んでいると、不意に目の前にぼけた太楽伎の姿が現れた。これに陶継之はびっくりして茶碗を落とし震えだした。

 「お前は、お前は、幽霊か?」

 これに太楽伎が答えた。

 「そうだ!わたしはあの世で天帝さまにお前のことを訴え、仇を討つことを許された!思い知れ!」

 太楽伎はこう叫ぶと、瞬く間に小さくなり、驚きのあまり叫びそうになった

 陶継之の口の中に飛び込んだ。すると陶継之が腹を抱えて苦しみだし、この声に屋敷のものが駆けつけたが、陶継之は次の日に床の上でもがき死んでしまった。そのご、陶継之の息子もへまを仕出かし牢獄に入り、陶継之の家はつぶれてしまったそうな。やれやれ! 

 そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。

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