北京オリンピックのマスコットは、「福娃(幸せをもたらす子供)」と呼ばれています。そのデザインは、五輪マークや、中国の山・川・湖・海・動物のイメージに由来します。
その中で、パンダだけが動物です。ほかのは魚、オリンピック聖火、チベットカモシカ、そして燕の形をした飾りをつけた子供です。以下、この5つの「福娃」を1つずつ見ていきましょう。
まずは、「べーべー」です。
中国語では、「魚」という字の発音と「余裕」の「余」の発音が同じなので、魚があれば生活に余裕があるといわれています。
「べーべー」のデザインには、こうした縁起のいい生き物の魚と、水の要素を取り入れています。頭の上の真ん中に、空に向けて口を開けている魚のような飾りがあり、髪の毛は波の形をしています。
これは、皆さんお馴染みの動物・パンダをイメージした「福娃」、「ジンジン」です。頭のところどころに木の葉っぱのようなものが見られますが、それは、中国宋代の陶磁器の紋様によく描かれるハスの葉っぱです。
次は「ファンファン」。全身真っ赤で、燃えている火のようです。髪の毛は、中国敦煌の壁画に見られる火の紋様をモチーフにしています。全体として、オリンピックの聖火を象徴します。
これは、「インイン」と呼ばれます。中国のチベットや青海に生息し、いまでは絶滅の危機にさらされている動物、チベットカモシカをイメージします。頭には、チベットや新疆、青海などにいる少数民族の飾りが施されています。
5つ目の「福娃」は、「ニーニー」です。翼を開いて飛ぼうとしているかわいい燕が、このマスコットの頭の上にとまっています。北京は昔、「燕京」と呼ばれていました。したがって、「ニーニー」が燕のデザインを取り入れることで北京を代表するということを表しています。
名前は、それぞれ「べーべー」「ジンジン」「ファンファン」「インイン」「ニーニー」です。これらの名前を並べていえば「北京歓迎に(人偏に「尓」)」、日本語にすると「ようこそ北京へ」という意味になります。
そして、マスコットの色から見れば、青・黒・赤・黄色・緑。ちょうどオリンピックの五輪マークの色と同じです。
これまでのオリンピックの中で、数が最も多いマスコットです。オリンピックマークの「五輪」がお互いにつながっていると同様、この5つの「福娃」も手をつないで、世界各国の人を歓迎しているのです。
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