そこで「待ってました!」とじいさんとばあさんたちは、隣近所を回り、このことを告げた。これを聞いた村人たちは、さっそく包丁や鎌、それに棍棒を手にじいさんばあさんの家に来て「息子の仇だ!」と蚊を撃ち殺そうとしたが、どうしたことか包丁や鎌は蚊を切れず、太い棍棒でいくら叩いても蚊は何事もなかったように寝ている。
「これはどうしたことだ?何とかしないと、この化け物はやがては目を覚まし、みんなを襲うかもしれないぞ!」
このようにみんなが困っていると、一人のじいさんが言い出した。
「そうじゃ!むかしから、獣や化け物は火を嫌うというじゃないか!どうだい、この化け物を焼き殺してしまえば?」
ということになり、みんなはさっそく薪を集め、それに太い縄を持ってきて寝ている蚊をがんじがらめに縛り、積み上げた薪の上に乗せると薪に火をつけた。すると油をかけてあった薪は瞬く間に燃えだし、縛られた蚊は熱さのために目を覚ましたが、体を縛られているのでどうすることもできない。こうして村人たちは蚊を夜が明けるまで焼いたが、なんと蚊は焼け死なない。それに体がだんだん小さくなり、朝方にはなんと小指の爪の大きさまで小さくなった。もちろん、縛っていた縄は焼けて灰となり、小さくなった蚊には羽が生えてきた。そこで蚊はかすかな鳴き声を出してどこかへ飛んで逃げてしまったわい。このときから人間に体を小さくされた蚊は人間を食べられなくなり、その細長い口で人間の血を吸い、自分が焼かれた仕返しとしたそうな。
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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