次は、「二人の弓使い」
「二人の弓使い」
むかしむかし、東村にある弓使いがいて、西村にも弓使いがいた。ここでは東村のを東弓と呼び、西村のを西弓と呼んでおこう。
東村の東弓は、すばらしい弓を腕を持っていたが、いい矢がなかったので、山に狩にいってもいつもたいした獲物はなかった。そして、西村の西弓のもつ矢は鋭いが、弓が駄目だったおかげで、狩に出てもやはり大きな獲物はなかった。
こうして東弓はいつも「おいらには立派な矢がないので、いくらいい弓を持っていても何にもならんな・・」とため息をついていた。そして西弓は西弓で、俺の矢は一流だというのに、弓がいかん。これではどうにもならん、やれやれ」と落胆していた。
このとき、どこからか来たある老人が、この二人の様子を知り、二人を呼んで言い聞かせた。
「お二人さんよ。そう嘆きなさるな。どうじゃ?あんたは弓の作り方をこちらに教え、あんたは矢の作り方をこちらに教えれば、二人ともすばらしい弓と矢をそれぞれ持てることになるじゃろ?」
これに二人の弓使いは喜んでうなずき、さっそくそうすることにした。こうして互いに自分の作り方を相手に教えたので、東弓は、鋭い矢を持つようになってから多くの獲物を持ち帰るようになり、西弓のほうも、かなりの弓を持つようになり、いつもの沢山の獲物を手に入れた。
こうして日が経ったが、東弓は、獲物が沢山取れても弓矢の修行に励み腕を上げた。ある日、山で虎に出くわしたが、なんとその虎を射止めてしまったので、みんなから褒められた。
一方、西弓はその後怠けていた。しかし、東弓が虎を射止めたという話を聞くと「俺にも出来る」と威張りちらし、翌日弓矢を手に山に入ったところ、なんと大きな狼に出くわした。ところが、西弓はこれまで修行を怠っていたせいか、矢は狼に当たらず、かえって狼に腕をかまれて大怪我じ、傷が治っても腕が利かず、どうにもならなかった。
その後、東弓は驕らずに引き続き修行に励み、その腕は上がるばかり。そしてどんな獲物も逃さなくなり、空を飛ぶ鳥といえども、狙いを付ければ、必ず打ち落とせるまでになっていた。こうして東弓の暮らしは徐々によくなっていく。
一方、西弓のほうは、獲物がうまく取れず、暮らしも苦しくなるばかり。
次の年に東弓は嫁をもらい、これを聞いた西弓も、何時までも一人暮らしではと借金してなんとか嫁をもらった。
こうしてその翌年、東弓と西弓は子供をもうけた。しかし、東弓の息子は豊かな暮らしにあったので、父のように頑張らず、父が亡くなった後は、財産を食いつぶしてしまい、貧しくなっていき、終いには物乞いするまでに落ちぶれた。
しかし、西弓の息子は、家計が苦しいので、小さいときから苦労し、そのうえ父親とは反対に一生懸命頑張ったので、暮らしも徐々に良くなり、そのうちに金持ちになっていったと。
そろそろ時間のようです、来週またお会いいたしましょう。
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