化け物は自分がおんぶしているアニンが震えたのがわかり、疑わなくなった。そして「ははーん。それだったら俺が何とかしてこいつを怖がらせてやる。そうすれば、今度はこいつが俺をおんぶすることになる」と思い、疲れながらもニヤニヤした。
こうして夜になったので、アニンを次の日もおんぶすると約束して二人は丘の上で休んだ。しばらくして化け物は不意に姿を消したあと、何かを持ってきて、明かりをつけ、寝たふりをしているアニンをゆすり起こした。
「何だよ、人が気持ちよく寝ているというのに」
「おい。おい。みろよ、何を持ってきたとおもう?」
そこでアニンが目をこすってみてみると、なんと自分の大好物のもち米ご飯と茹でた鶏ではないか!
「ははーん。こいつめ」とアニンはおもったが、そこは賢い彼のこと。急にびっくりしたふりをして飛び上がった。
「何だよ!何でこんなものもってきたんだ!早く遠いところに捨ててしまえ」
「ひひひ!そうはいかないよ。これは俺が苦労して遠くから盗んできたんだ。お前さんが怖がるのを楽しみにしてね」
「なんということだ!・・」
とアニンがわざと震えだしていると。化け物は言う。
「どうだい?これで明日はあんたが俺をおんぶして歩くんだぞ。それも一日中な!」と脅かす。
これにアニンはわざと目をつぶり、「もう、どうにでもなれ!」とわめく。そして急に手を伸ばし、もち米ご飯と茹でた鶏をむしゃむしゃ食べ始め、みんな平らげてしまった。
こちら化け物はびっくり。
「あんた!自分の恐れているものを食べてしまったのか!」
「ああ!これでこの世で怖いものはなくなった」とアニンはわざと怖い顔をして、化け物を睨んだ。
化け物はこれに震えだし、ヒェー!という可笑しな声を残して、姿を消してしまったわい。はいおしまい!
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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