今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、むかしの小話を二つつご紹介しましょう。
最初は、「汝陽王と常持満」
「汝陽王と常持満」
唐の玄宗帝の弟だという李シンの汝陽王は、大の酒好きで、何時もぐてんぐてんになるまで飲まないと気がすまない日を送り、また、当時は「飲中八仙」の一人だとして知られていたらしい。
そのとき、玄宗帝は道士の葉静能を国師として迎えていた。この葉静能はたいした人物だといい、多くの術を使って玄宗帝をあやし、かなりの信用を得ていたという。
と、ある日、葉静能は用があって汝陽王の屋敷に来たが、汝陽王に会わなくとも済むことだったので、それを済まして帰ろうとしていると汝陽王が帰ってきた。
「これはこれは、国師どの。お久しぶりですな」
「おお、汝陽王さま、お元気そうで何より」
「もう帰られるのか」
「小さな用が済みましたので、これから戻ろうとしているところ」
「なんと水臭い」
「いやいや。汝陽王さまもお忙しいでしょう」
「忙しいことなどありませんわい。どうです。私の酒の相手をしてくださいな」
「いやいや、とんでもない。拙僧は酒のほうは駄目でしてな。汝陽王さま、どうかお見逃しくだされ」
「国師どの。何を申される。お手前は仙人のようなお人。酒のほうも途方もなく強いに違いあるまい。今日は久しぶりにお会いできたのだから、国師どの、二人で心行くまで酌み交わそうではないか!」
「とんでもない。拙僧はあなたさまのお相手などはできません」
「そう遠慮せずに」
「まことでござる」
「そんな・・」
「では・・・汝陽王さま、どうでござりましょう。拙僧には弟子がおりましてな」
「ほうほう。国師どののお弟子さん?」
「いかにも。この弟子は大の酒好きでございますが、あまりにも醜いので汝陽王さまが驚かれますと・・」
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