今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日のこの時間は、昔の本「太平広記」から「夢」というお話をご紹介いたしましょう。
劉界石は、陝西で役人をしていたが、のちに江南地方の地方長官となり蘇州の虎丘に住んでいた。
と、ある日の夜、界石は陝西に戻った夢をみた。しかし、まだ実家に着かないうちに化け物につけられていることに気づいた。幼いときから肝っ玉が太い界石が振り返ってみると、化け物は背丈が三尺あまりで、獰猛な面構えをし、その上牙をむき出している。
「ふん!このわたしはいまは文官だが、腕におぼえがあり、それに背丈もあるので、お前なんかにやられてたまるか!」
こう思った界石は不意に立ち止まり、なんとその化け物と渡り合い始めた。
もちろん、小さいときから武術の達人に学んだ界石の腕は衰えていない。しばらくして界石はその化け物を殴り倒したので、化け物を捕らえて近くの谷に落とそうと思った。ところが、そこへ長いこと会っていない実家の近くに住む幼なじみがきた。その幼なじみは化け物を見ても驚かず、近くに観音さまの廟があるから、そこへ化け物をつれて行き、観音さまに懲らしめてもらえばいいと言う。そこで界石はその廟へ行くことにした。
さて、廟の門前にくると、守護神の韋駄天がいて、化け物をにらみ付け、界石が何も言わないのになんと手中の宝剣で化け物に斬りかかった。これをみた化け物は恐れおののき、なんと界石に助けを請う。そこへ観音さまが出てきていう。
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