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本多隆法さん 鑑真和上の偉志に「学校」で恩返しを
   2006-07-17 09:59:51    cri

 来福寺は東京都・品川区東大井にある真言宗の大寺院。かつては近くにある梶原稲荷神社も境内の一部だったといわれる。創建は990年(正暦元年)。鮫洲を見下ろす高台にある。境内に饅頭の製造方法を中国から日本にもたらした林浄因の記念碑がたつ。 

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 品川区・東大井。下町らしい賑やかな商店街を抜けて、細い坂道を登り切ると「来福寺」がある。境内に入るなりふと足を止める。深緑と静寂だけの世界。澄み切った空気が降り注いでいる。この寺は1115年もの歴史があるという。

 住職の本多隆法さんは中学2年生の時に出家。1966年、大学3年生の時に有志と共に「水月会」を立ち上げた。「仏教は亡くなった人のためにもあるが、生きている人のためにもある。何か奉仕活動をやりたい」、志を共にする友人らと活動を開始。それからは無認可の保育園の園児をバスツアーに招待するなど、恵まれない子どもたちのために奔走した。

 1990年からは中国の貧困地区で援助を開始。「日本の隣国であり、仏教のふるさとでもある中国。失明をしながらも日本に仏教を伝えた鑑真和上の偉志に恩返しをしたい」。水月会は湖南省の地から学校建設事業を着手した。「教育というのは大切ですからね。今の中国のためでもありますが、将来の30年、50年、100年先、もっと先の中国のために役立ちたいんですね」。

 こうした活動を続ける中で、学校の名称、建設の規模など日中間で意見が異なることもある。援助資金を横領されたこともあった。だが決定的な軋轢にはならず、年に1校から4校のペースで建設が進んでいる。今や「水月会」に賛同するのは天台宗や曹洞宗など日本の超宗派2000の寺院で、1校にあたり数百万の資金が寄せられる。これまでに建った学校は28校、その名称のすべてに「中日友好」が掲げられている。

 1992年に建てられた山東省濰坊の「寿光中日友好小学校」。すでに13年の月日が経つが、本多さんの誕生日には必ずお祝いのメッセージが届く。校長先生が毎年子どもたちに学校建設のいきさつを語り継いでいるからだ。「本多伯父様、お元気ですか?私たちの学校の花壇には今、きれいな花が咲いていますよ」。子どもたちが心を込めて描いた色とりどりのカード。古色を帯びた来福寺の座敷が、一瞬のうちにはなやぐ。

 現在住職の本多さんには心強いパートナーがいる。傍らにいる夫人はかつて「水月会」のアルバイトに来ていた留学生だった。「家内は奉仕活動が好きなんですね。通訳とか。一緒に同じ業務ができるということですね」。夫人の父が今、中国の医師会と共に、学校が必要な貧困地区の選定などに尽力してくれている。「予定としては100校建てたいですね。あと70校。私の代じゃなくてもね」。取材が終わると、住職と8ヶ月の玉のような赤ちゃんを抱いた夫人が境内まで出て笑顔で見送ってくれた。

 来福寺の門に立ち、 高台からの景色を見渡す。風は清々しかった。

 (日中メディア研究会 満永いずみ)

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