張:出版した本の中で、とくに印象に残った本はありますか。
段:結構ありますが、一冊目の「在日中国人大全」は私の出発点で、情報量が非常に充実していて、多くの方に評価されています。また、朝日新聞朝刊の「ひと」欄、読売新聞の一面コラム「編集手帳」欄で取り上げられ、それがきっかけで、多くの図書館と読者が購入してくれました。また、NHKが本をテーマに特集番組を作ってくれました。さらに、この本を出版することで、在日中国人のネットワークも広がりました。この本は、私の誇りです。
張:本を出版する際には、多くの日本人、そして同胞である中国人の支援があったと聞きます。
段:執筆と編集は殆どひとりでしたが、一冊の本を企画して出版するまでには、多くの友人に応援してもらいました。みなさんの力がなければ、ここまではできませんでした。また、日本の国際化がすすみ、外国人が活躍できる環境ができていたこと、中国の改革開放がすすみ、海外に出かけて挑戦する機会に恵まれていたことも幸運でした。
張:奥さんも段さんを支えたと思いますが、いかがですか。
段:おっしゃる通りです。私は仕事人間ですから家事はまったくしません。だから、子育ては任せきり。それだけでなく、データをチェックしてもらったり、営業に出かけてもらったり。彼女の努力がなければ本は出版できませんでした。
張:日本の方に何かひと言お願いします。
段:大勢の支えてくださった方々に、本当に感謝の気持ちを持っています。しかし、いろいろ壁もあります。例えば、本を出版することはそんなに難しくないですが、大手の取次会社は小さな出版社の本をなかなか配本してくれません。置いてくれる本屋さんも少ないのです。私の編集出版した本は、余り売れていないですが、とてもいい本が多いです。私の出版した本を多くの方に読んで頂ければ、日中相互理解に役に立つと信じています。
張:中国人が書いた本、中国人が見た日本、こういう本を読めば、中国人が日本をどうとらえているかがわかりますね。
段:そのとおりです。一般本屋さんが置いてくれないので最近はインターネットで通信販売(http://duan.jp)もやっています。少しでも多くの方に届けたいので、送料もこちらで負担しています。また、ブログも持っています。電子版リポートとして活用しており、読者も日々増えています。また、今年からは、日本人の中国語作文コンクールもスタートさせました。というのは、話すことは苦手でも書くことは得意という人がけっこう多いからです。「中国語とわたし」「日中相互理解をどう深めるか」という2つのテーマで、140本以上の作文が集まりました。とても深みがあるものもあり驚いています。特に相互理解については具体的な提言もありました。中国でも出版するつもりです。
張:目覚しい活躍ぶりですが、これも奥さんの?内助の功?あっての賜物ではないでしょうか。これまで日本で活躍する中国人たちの全体像を把握するのは困難でしたが、段さんの著作のおかげで明確になりつつあります。これは大変意義あることです。今後のご活躍も期待しております。
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