10月7日に、新しい(1)地下鉄5号線が運行し始めました。北京の南北を走る初めての路線でもあり、市民の注目を集めています。私は普段めったに地下鉄を利用しないのですが、つい最近用事があって乗りました。
天安門広場より東側にある(2)東単駅で、東西を走る1号線から5号線に乗り換えましたが、(3)ホームに入ると、「静かだ」というのが、最初の印象でした。自分の足音が聞こえてくる気がしました。隣の人たちのおしゃべりの声もはっきり聞こえてきました。「どうしてだろう」と、周りをよく見ると、ホームと線路の間が、ガラスのフェンスで隔離され、密閉状態になっていることに気づきました。電車を待つとき、これまでのそわそわする気持ちがせず、なんとなく落ち着きを感じました。
電車に乗ると、車内は、1号線と2号線の車内で感じる換気扇のまわる音がない上、レールの音も低くなっています。このため、乗客たちが声を上げておしゃべりしている風景も見られませんでした。
ところで、北側にある(4))雍和宮駅で降りるため、東単駅から5つの駅を通過しました。東単から雍和宮にいたるまでのこの区間は古くから、商業が盛んでした。米や提灯の市、明時代の造幣場などが集っていました。いまでは、米市大通り、灯市口大通り、銭糧胡同という名前が、その名残を感じさせています。清時代に起きた(5)百日維新の代表人物梁啓超や康有為の旧居も残っています。また、およそ600年間、中国の最高教育機関として栄えた「国子監」などもあります。このほか、90年の歴史を持つ中国で最も有名な病院・協和病院もあります。このことから、この5号線は、まさに北京の中腹を通っていると言えるもので、今後、いい観光コースにもなる予感です予感がします。
5号線を敷設に当たっては、この地区の伝統文化を意識したようです。ホームのデザインは伝統文化で特色をつけています。例えば、東四駅のホームは床が(6)中国将棋の図案になっています。雍和宮駅のホームでは、柱は故宮の壁と同じように赤色に塗られ、欄干は伝統的な建築の材料になっている漢白玉、大理石が使われています。このように5号線はほかの地下鉄路線とは一味違った、古代文化の雰囲気も漂わせています。
ホームや車両が新しいこともあって、乗り心地が大変よいものでした。
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