このごろ職場の同僚などで、郊外へ杏、梨、桃などの花見に行こうと誘う声をよく(1)耳にするようになりました。皆さんは、どこかへ(2)ピクニックに行ってきましたか。
さて、この間、街を歩いていますと、20代の女性が若葉の茂る木の枝から何かを取っては(3)ビニール袋に入れているのを見て、「あら」と不思議に思いました。しばらく見ていますと、緑の葉っぱを取っているのではなく、葉っぱの陰に隠れている実を取っているのでした。何に使うかなと思って聞きますと、二人の女性は(4)なまりのある口調で、「食べるのよ、これは、楡の実なの」と答えてくれました。私は、「(5)なるほど、これが(6)楡の実か」と、この実を改めてじっくり眺めていました。小さい時から、楡の実でできたパンなどは(7)香ばしいと聞いていますが、一度も本物を見たことがありませんでした。
いまの所、楡の実は緑色の鞘をしており実も食べられます。(8)アカシアの花のような形をしています。私もついでに取って食べて見ますと、かすかに甘く柔らかくて春ならではの食感でした。この時期の実は、新鮮で食べるのにちょうどいいです。もうしばらく経ちますと、実が大きく硬くなって、食べられなくなるとのことです。
とうもろこしの粉と一緒に(9)練って、蒸しパンにしたり、焼きパンにしてもよいと、その女性が紹介してくれました。ビニール袋はもう一杯になりましたので、「それをどうするですか」と聞きますと、「(10)山東省出身の同郷を呼んで、とうもろこしの焼きパンでも作って、今夜田舎を思い出しながら食べるよ」と笑いながら話しました。(11)水色のジャケットに、めがねをかけ、頭を(12)ポニーテールにしている、その女性の弾んだ口調は、今も耳に残っています。
|