朝、駐車場で、朝露を払っているドライバーの姿を見かけます。(1)白露が過ぎて大分なるので、そんな風景が珍しくない北京です。皆さんの所はいかがでしょうか。
さて、葡萄、ナシ、りんごなどおいしい果物がそろって出回るシーズンになりました。(2)籐籠にザクロを積んで、(3)歩道橋やバス停などで売る人も増えています。
私の生まれた東北は(4)ザクロの産地ではないため、1990年ごろ西安で最初に実物のザクロを目にして感動しました。それまでは絵でしか見ていなかったのです。中国で、ザクロはとても縁起のいい果物とされています。それに、ザクロの花で染めた(5)ザクロスカートという言葉もあって、漢詩の世界でよく出ています。
縁起ものとされるのは、ザクロは、たくさんの実をつけているからです。この実は、昔から子孫繁栄、団結を象徴するものとして、大切にされてきました。皆さんが、中国に来られた時、少し皮がはじけて、中から溢れそうと実を出しているザクロの絵がよく見かけると思います。場合によっては、遊んでいる子どももいるが、実は、このような絵には、多くの子どもを授かり、子々孫々が繁昌するという縁起の良さが含まれているからです。昔の建物には、よくザクロを(6)モチーフとした飾りがつけられているのもそのためです。
ところで、ザクロは中国原産ではありません。2000年ほど前、西側の諸国との連絡通路だった(7)シルクロードを開通させるため、漢の使者として今のイランに行った張センが持ち帰ったそうです。(8)燃えるような真っ赤な花は、初夏の旧暦の5月に満開になることから、5月を(9)「ザクロ月」という別名があります。また、1300年ぐらい前の唐の時代では、その花は衣服の染料として使われていました。唐の時代の女性が身につける真っ赤なスカートは、このザクロの花で染められたものです。この情熱的なスカートは、「ザクロスカート」と名付けられ、あの時代の風流さを物語っているようです。
町を歩くと、よく耳にする「ほら、ザクロがあるよ」という声に、いろんなことに(10)思いを馳せる私です。
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