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植樹の季節に想う
   2006-04-23 10:27:49    cri

 毎年このごろになりますと、(1)街路や空き地に木を植える風景をよく見かけます。(2)植樹といえば、私はいつも、(3)取材に応じてくれた黄さんという一人の(4)年寄りのことを思い出します。60代の黄さんは北京の南にある(5)河北省の出身で、12歳のときに家族と一緒に北京に引っ越してきました。そのとき、父親が(6)荷物と一緒に荷車に載せたのは、香るという字に椿と書く(7)「チャンチン」という5本の苗木だったそうです。この(8)苗木を新しい家の庭に植えられ、数年後、それが育ち、春先に芽生えた(9)若葉を、それを摘み取って(10)炒め物にしたりして食べたとのことです。(11)野菜の出回らない春先のかけがえのない食材でした。また、初夏になると、葉が茂り、房の形をした花を咲かせます。庭にはしばらくこの花の甘い香りが漂い、庭全体を覆うほどの木陰で、(12)針仕事をしたり、夕食をしたりして、蒸し暑さをしのいでたと、懐かしそうに(13)回想していました。そして、父親が亡くなるとき、これらの木は直径50センチまで育ち、棺の材料に使われたとのことです。実は当時、苗木を一緒に引っ越すことが慣わしで、暮らしに役立てると共に、棺の材料にもするという考えがあったようです。

 ところが、つい最近、北京市の都市化が進むにつれて、黄さんの庭は(14)土地収用になり、仕方なく引越すことになりました。黄さんは2人でやっと抱えられるほどに成長したチャンチンの木の扱いに困っていました。話すとき漏らした(15)ため息には、この木も家族の一員だなと、私は感じました。団地でも管理者が空き地で木を植え始めていますが、根っこを巻かれて植えられる前の苗木を見て、黄さんのことを思い出す私です。ちなみに、1979年、中国は3月12日を(16)植樹の日と決め、今年で7年目を迎えています。

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