10月16日は「世界食糧デー」です。
FAO・国連食糧農業機関は「世界の食糧安全保障に対する気候変動とバイオ燃料の挑戦」を今年のテーマと定めています。
気候変動は農業、漁業、林業に従事する人に対して直接、大きな影響を与えています。
また、気候変動によって引き起こされた洪水、旱魃(かんばつ)などは世界の食糧安全保障に対する問題となっています。
国連食糧農業機関は「農業は温室効果ガスを排出して気候を変動させる一方、温室効果ガスの排出削減にも寄与している。世界の温室効果ガス排出量のうち、農業と森林伐採で30%以上を占めている。森林保護を推進し、伐採を減少させ、過放牧を抑制するなど環境保全型の生産方式を導入すれば、より多くの人々に食糧を供給することができる」としています。
ここ数年、バイオ燃料製造業は急速な発展を見せています。
バイオ燃料は温室効果ガスと鉱物燃料への依存を減少させる手段として利用されていますが、これが世界の食糧安全保障を脅かしています。
今年6月、ローマで開催された世界の食糧安全保障に関するハイレベル会合では、バイオ燃料と食糧の安全保障をめぐり、大きな論議を巻き起こしました。
国連食糧農業機関が発表した『2008年食糧農業白書』によりますと、「2000年から2007年までの7年間、農産物を原料とするバイオ燃料の生産量は3倍増加し、世界の輸送燃料の2%を占めている。今後10年で、バイオ燃料製造のための農産物原料への需要はさらに拡大し、世界的な食糧価格の高騰の一因となるだろう。バイオ燃料への需要拡大は農産物の価格を引き上げ、発展途上国の農業と経済成長にプラスであるが、食糧の安全保障面でリスクが拡大するだろう。世界的な食糧高騰は食糧を輸入に依存している発展途上国に大きな打撃を加えている」ということです。
今年は食糧と原油の価格高騰に加え、1929年の大恐慌に匹敵する金融危機も発生しています。
国連食糧農業機関のジャック・ディウフ事務局長は「金融危機は発展途上国のマクロ経済に打撃を与え、農業と食糧の安全保障分野で影響は深刻化した。発展途上国への政府開発援助、農業分野への銀行貸付(かしつけ)、農家への直接投資などいずれも影響を受けている」と指摘しています。
これらの要因で、食糧の主要輸出国が作付面積を減少させ、来年は食糧価格が一層高騰するだろうと懸念されています。
ディウフ事務局長は「金融危機の中、世界は食糧危機を忘れず、農業に関心を寄せるべきだ」と述べました。
(ジョウ)
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