IMF・国際通貨基金と世界銀行の年次総会が10月13日、ワシントンで開催されます。
今回の年次総会では悪化し続ける世界の金融危機への対応が最重要課題となります。
開催を前に、国際通貨基金のストロスカーン専務理事は記者会見を行ないました。
その際、ストロスカーン専務理事は「先進国の経済への監視と管理が失敗し、また金融機関のリスク管理と市場が機能を失ったため、金融危機は悪化した。先進国は1930年代以来最悪の金融危機に見舞われており、実体経済への影響から逃(のが)れられる国はない」と述べました。
21カ国の中央銀行は8日、緊急協調利下げを実施しましたが、大きな効果は出ていません。
これを受け、ストロスカーン専務理事は「金融市場の運営は正常に戻(もど)らず、伝統的な通貨・財政対策が良い効果を上げていない。原因は市場への信頼が損(そこ)なわれていることにある。そのため、市場への信頼が回復すれば、その他の手段も効果が出てくる」と強調しました。
IMFが発表した最新の世界経済見通しでは、今年の世界の経済成長率は2007年の5%から3.9%まで急落し、2009年は3%へと続落(ぞくらく)し、経済は2009年の下半期から回復し始め、発展途上国と新興国が牽引的な役割を担うとしています。
ストロスカーン専務理事は「去年の世界の経済成長率では発展途上国の寄与度は3分の2に達した。少なくとも来年上半期までは、先進国の成長率はほぼゼロとなり、途上国と新興国は世界経済を牽引していくだろう。だが、途上国経済も金融危機の影響を受け、来年の成長率はこの数年をずっと下回る」との考えを明らかにしました。
この点について、世界銀行のゼーリック総裁は「原油と食糧の高騰でマイナスの影響を受けた途上国経済に、金融不安は大きな打撃を与えた。世界銀行は来年の途上国の経済成長率を4月の6.6%から4%に下方修正したが、これは楽観的な予測である」と述べました。
また、ストロスカーン専務理事は「世界経済は大きく低迷しているが、来年から回復し始めるだろう。回復は緩(ゆる)やかだが、少なくとも世界にプラスのシグナルを発(はっ)するだろう」と述べました。
(ジョウ)
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