アメリカ議会は一週間以上にわたって金融安定化法案の修正のための協議を行いましたが、最大7000億ドルの公的資金を投入する法案について初歩的には一致に達したものの、29日の下院本会議で否決されました。
29日午前に行われたアメリカ連邦議会下院本会議の採決では、ブッシュ政権が提出し、議会の幹部と数回にわたって協議した上で修正を加えた7000億ドルを投入する金融安定化法案は、賛成205反対228の反対多数で否決されました。
ホワイトハウスのフラット報道官は29日、「ブッシュ大統領は、政府が提出した金融安定化法案が下院で否決されたことに落胆している」とし、「今アメリカは厳しい危機に直面しているが、何としても解決しなければならない」と語りました。
アメリカ財務省のデービス報道官は、「政府はできるだけの手段を取りアメリカの金融市場と経済を守っていく」と述べ、ポールソン財務長官がブッシュ大統領や、連邦準備制度理事会のベン・バーナンキ議長、議会幹部と更に協議を行っていくことを明らかにしました。下院のペロシ議長は、「法案が否決されたのは受け入れられないことだ。議会は、法案が採択されるよう引き続き努力していく」と語りました。
この法案は、最大7000億ドルの公的資金を投入することを認めており、法案が採択されれば、金融機関の不良資産を買い取るため当初2500億ドルを投入し、、その後大統領による議会への通告を経て1000億ドルの追加が可能で、残り3500億ドルの投入には議会による検証が条件になるということです。
法案が否決されたことについて、アメリカのブッシュ大統領は、「法案が下院本会議で否決されたことにがっかりした。私たちは厳重な経済危機に直面していると認識して、巨額の救済計画を立てた。今後、新たな対策を検討していきたい」と語りました。
なぜ修正を重ねた法案が最終的に否決されたのかについて、中国現代国際関係研究院経済安全研究センターの江涌主任は、「議会の主要な使命は納税者を代弁することだ。今回の法案により、巨額の資金が投入される上、サブプライムローン問題は先が見えない。7000億ドルで十分かどうかさえ分からない。こういう状況で、納税者が反発するのは必至だ」と語りました。
金融安定化法案が議会下院で否決されたことが伝えられ、アメリカの株式市場の平均株価は急落しました。ニューヨーク市場の平均株価の終値は先週末より777ドル68セント下落し、2001年、同時多発テロ事件のときの684ドルを抜いて、過去最大の下げ幅となりました。
また、この影響で、国際原油市場も動揺し、原油価格は大幅に下落しました。
さらに、法案が否決されたことは、アメリカの政治にも重大な影響を及ぼすと見られています。中国現代国際関係研究院経済安全研究センターの江涌主任は、「大統領選挙を控えて、民主党大統領候補のオバマ議員は積極的な経済政策を主張する一方、共和党大統領候補のマケイン議員は保守的な態度を取っている。サブプライムローン問題による危機が広がっていることは、マケイン議員の選挙に影響を及ぼすだろう」と 述べました。
金融安定化法案は一旦棚上げされた後、修正を加えて民主・共和両党で一致に達したものの、最終的に否決されました。短時間で起きた劇的な変化は、アメリカ経済が不安定である証だと見られています。アメリカの経済の先はどこに行くのか、これからどんな金融支援策が取られるのか、アメリカはもちろん世界が注目しています。(翻訳:李軼豪)
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