世界金融センターと呼ばれるアメリカのウォール街は15日、世界を驚かせるニュースを相次いで発表しました。まずはアメリカ証券4位リーマン・ブラザーズの経営破綻、続いてはアメリカ銀行2位のバンク・オブ・アメリカが、証券3位のメリルリンチを救済合併するということでした。
この半年間で3社の大手証券が淘汰される異常な事態から、アメリカ政府の金融管理能力の不足、ハイリスク業務に無条件に関わることへの批判の声が上がっています。
158年の歴史を持つリーマン・ブラザーズが今月10日発表した財務報告によれば、今年第2四半期は39億ドルの赤字が出ており、株価は昨年初めの最高値に比べ95%も下落したということです。アメリカ政府、連邦準備制度理事会(FRB)は12日以降、欧米の主要金融機関の首脳らを集めて救済策を模索しました。政府の提案に基づいて、リーマンの業務を2つに分けて、証券などの良質債権を大手銀行のバンク・オブ・アメリカやイギリス金融大手のバークレイズなど複数の金融機関により買収させ、その他の不良債権はウォール街にある10数社により共同買収させる方針でした。
アメリカ政府のこういった対応は、今年3月にJPモルガンがベア・スターンズを買収した際、連邦準備制度理事会と財務省が290億ドルを融資したことや、つい先日政府が2つの金融機関を公的な管理下に置いたことに比べ、大きく異なることが分かります。リーマンの経営破たんを前にして、政府は今回特に手を打ちませんでした。これについて、アメリカの政府高官は、先ごろのベア・スターンズの破産は、アメリカだけでなく世界経済に大きな衝撃を与えることが予想されるのに対して、リーマンはFRBから資金を得られるため、短期債務をある程度引き伸ばせるというふうに解釈しています。また、ベア・スターンズが買収されて7ヶ月後の現在、ウォール街の各社がリーマン社の金融危機をコントロールする余裕があるとの意見もありました。また、「ウォールストリートデイリー」は、アメリカの金融システムにとって、リーマンはすでに重要ではないからだと厳しく指摘しています。
一方、リーマン・ブラザーズが買収失敗を発表して間もなく、バンク・オブ・アメリカは、500億ドルで、94年の歴史を有する証券3位のメリルリンチを救済合併することで合意したと発表しました。これまでの15ヶ月の間に、リーマン・ブラザーズとメリルリンチはいずれも数百億ドルのハイリスクの不良資産を抱えており、負債権益は20倍を超えていました。リーマンの結果を見て、メリルリンチは同じような結果を回避するため、比較的公平な価格で以前から同社を狙っていたバンク・オブ・アメリカと速やかに合併しました。
先週末、アメリカは最悪の金融危機に直面しました。グリーンスパン前FRB議長は、これを「百年の危機」と例えています。マスコミは貪欲と恐怖はウォール街の付き物だと評論していますが、今回の金融危機は恐怖極まるものでした。また、この恐怖も貪欲に起因しているのではないでしょうか。低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題に伴う昨年夏以降の混乱は、アメリカ金融業界の大型再編へと発展しました。(閣)
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