中国国家統計局が10日発表した国民経済運営データによりますと、8月の消費者価格指数・CPI は去年同期より4.9パーセント上昇しました。CPIは4カ月連続して下落しており、この13カ月で初めて5パーセントを下回りました。これを受けて、経済専門家は「インフレ圧力はある程度緩和されたが、マクロ調整は緩めてはならない」と指摘しています。
国家統計局の最新データが発表された後、清華大学中国・世界経済研究センターの袁鋼明教授は「価格の下落幅が専門家の予測を大幅に超えた主な原因は、食品価格が著しく下落し、10.3パーセントまで下がったからだ。そのうち、肉類製品の伸び幅は10パーセント以下になった。消費者価格が下がったことで、マクロ経済のインフレ圧力は大幅に軽減される」と述べています。
中国人民大学金融・証券研究所の趙せき軍教授は、食品価格の下落が物価上昇幅を引き下げるとの考えに賛成していますが、同時に物価上昇幅を4カ月連続して引き下げた季節的、外的要因を軽視してはならない』と指摘しています。
さらに趙教授は「5月から9月は農業副産物や穀物油の供給時期にあたるため、市場の需給関係は比較的緩和され、価格上昇もそれほど激しくない」と述べています。
国家統計局がこの日発表した国民経済データによりますと、8月の工業品の出荷価格は去年の同じ時期を10.1%上回り、この12年で最高となり、そのうち原油と石炭はおよそ40%上昇しました。これに趙教授は懸念を示し、「工業品の出荷価格はしばらくCPIにある程度影響を与えるだろう。もし調整措置が適切でなければ、これらの価格上昇は物価をさらに引き上げかねない」と指摘しています。
さらに趙教授は「インフレ圧力がやや緩和している状況では、通貨政策を通じて、経済発展に向け構造的な調整を行うことができる。しかし、現段階では、実施している通貨引き締め政策を全面的に緩めてはならず、融資規模を抑制する必要がある」と強調しています。趙教授は、「通貨政策の分野では、構造的な調整手段が必要です。たとえば、地域や金融機関に応じて、異なる預金準備率を実施してもいいだろうし、農村や農業、中小企業などを対象にした金融サービスについては、特別な方針が必要です。また、融資面では、業界や企業に応じた政策を実施する。こうした政策は、構造調整の目標を実現するためのものです。同時に、インフレの抑制と経済成長の推進との間でバランスをしっかり取る必要があります」
「2007年下半期から、世界範囲で食品価格が上昇し、経済先進国の成長は鈍くなっている。この影響を受けて、中国のCPIは著しく上昇し、2008年2月にピークを迎えました。マクロ調整政策が次第に効果を上げるにつれて、CPIの上昇幅も去年の5月から4ヶ月連続して下落している」と説明しています。
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