南オセチア問題を巡るロシアとグルジアの衝突が発生して一カ月が過ぎましたが、EU・欧州連合の議長国・フランスのサルコジ大統領は8日、ロシアを訪問し、ロシアのメドベージェフ大統領と会談を行い、仲介役を担っています。
サルコジ大統領は当日、欧州委員会のバローゾ委員長やEU・欧州連合のソラナ共通外交・安全保障政策上級代表などと共にロシアを訪問しました。4時間にわたる会談の中で南オセチアとアブハジアの独立をめぐる双方の相違点は注目の的となりました。EUはロシアが南オセチアの独立を認める行為を非難しました。しかし、メドベージェフ大統領が南オセチア独立を認める立場を変えることはないと表明した上で、「南オセチアとアブハジアが独立を求めるプロセスに拍車をかけ、ロシアはこの地域にヒューマニズム、経済、軍事の援助を提供することになる」との立場を明らかにしました。
南オセチアとアブハジアの独立をめぐる双方の見解の不一致が依然として残っていますが、両国の大統領はロシア軍がグルジアから全部撤退することで合意しました。サルコジ大統領は会談後の記者会見で「この会談は成果があった」と表明しました。
この会談では、ロシアとフランスの両首脳が8月12日に達成した6つの原則協議を基に、追加措置で合意しました。
また、ロシアとフランスの首脳が8月12日に達成した南オセチア衝突解決の原則協議を着実に実施するため、双方は10月15日にジュネーブでアブハジアと南オセチアの国際フォーラムを開催することで合意しました。このフォーラムは両地域の安全と安定のルートを確保することや、難民問題それに各方面の衝突調停などについて討議することになります。
また、サルコジ大統領は会談後の記者会見で「私はメドベージェフ大統領にグルジアのサーカシビリ大統領の書簡を手渡した。サーカシビリ大統領は書簡の中で南オセチアとアブハジアに武力を使わないと保障した」と明らかにしました。このほか、サルコジ大統領は「ロシア側は達成した6つの原則協議の追加措置を着実に履行すれば、EUは10月にロシア側と新たなパートナーシップ協議交渉を再開する可能性もあり得る」と指摘しました。
関係筋によりますと、サルコジ大統領のロシア訪問は南オセチアの衝突情勢の解決に好影響を及ぼすことになりました。しかし、ベラルーシが8日、近いうちに南オセチアとアブハジアの独立を認める立場を表明したり、ロシアも9日に南オセチアやアブハジアと国交樹立について討議したりして、これらのことはグルジアと西側諸国の神経をとがらせることになると見られています。サルコジ大統領の訪問がいったいどれほど成果を挙げるかは国際社会が見守っています。
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