アメリカのブッシュ大統領はこのほど、テレビ演説で「上半期の景気刺激策は成果を見せ始めている。戻(もど)し減税(げんぜい)などが個人消費と企業投資を刺激し、住宅取引の急な減少も緩和されて、経済は景気回復に転じている」と述べました。
また、アメリカ商務省によりますと、今年第2四半期の経済成長率は3.3%に達し、7月の消費者信頼感指数も去年12月以来初めて向上し、ドル相場は上昇し始めました。
モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどの大手投資銀行は「ドル安は終わり、相場の上昇は来年上半期に継続していくだろう」と予測しています。
一方、一部のエコノミストは「第2四半期の成長は戻し減税とドル安によるものである。戻し減税は個人消費を刺激し、消費支出はGDP・国内総生産の3分の2を占めている。ドル安は輸出の伸びを牽引し、政府はドル安によって景気後退を抑制してきた。そのため、個人消費と輸出の伸びが鈍(にぶ)れば、景気後退は続いていく。今年下半期は、戻し減税の刺激効果が薄れ、ドル相場の上昇が輸出にマイナスの影響を与え、経済成長の牽引力は弱くなるだろう」と指摘しました。
さらに、サブプライムローンの破綻による影響が続き、第2四半期の住宅投資は二ケタの減少が続きました。
また、7月のインフレ率は去年の同じ時期より5.6%上昇し、この17年間で最高となりました。失業率も5.7%で、過去4年間で最高でした。
FRB・連邦準備制度理事会は3日、景気の状態を示す地区連銀報告を公表し、「8月末までの1カ月間、経済活動は引き続き低調で、原油高騰と食料価格の上昇は消費や投資にマイナスの影響を与えた。個人消費は鈍り、消費支出は生活必需品に集中し、それ以外の支出が減少した。多くの地区でサービス業の需要が縮小し、燃料高騰で輸送業はマイナスの影響を受けた。原材料価格の高騰により、製造業の規模は幾分(いくぶん)縮小した。住宅市場は依然として低迷している」と指摘しました。
多くのエコノミストは「アメリカ経済は厳しい状態に陥る恐れはないものの、不確定要素が大きい」と見ています。(ジョウ)
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