国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長ら27の機関のトップが27日と28日の2日間、スイスの首都ベルンで最高執行理事会を開きました。
理事会では、世界の食糧価格の急騰とこれに伴う一部国家の治安悪化を取り上げ、国際社会の協力による危機対応を検討しました。
ここ数年、世界の食糧価格は上昇を続けており、今年に入って、世界的な危機に拡大しました。
これにより、数億人以上の低所得層が飢饉に襲われており、過去10年間の経済発展による貧困撲滅の成果が相殺されています。
これを受け、国連関連機関のトップや高官は「世界的な食糧価格高騰は静かなる津波で、静かなるホロコーストである」と警告し、食糧急騰問題への対応は国際社会の最重要課題となっています。
今回の国連最高執行理事会には、FAO・食糧農業機関、WFP・世界食糧計画、世界銀行などが参加しました。
潘基文(パン・ギムン)事務総長は「世界はわれわれに期待を寄せており、解決法を見出さなければならない」との姿勢を示しています。
食糧価格高騰の要因を見てみますと、自然災害による穀物収穫量の減少が直接的な原因で、そのほか農業生産能力の減少や農産物貿易の不均衡構造で、食品消費構造の転換、原油価格の高騰による食糧生産輸送への圧力などが複合的に関係しています。
国連は最貧国や貧困層への緊急支援として、加盟国に寄付を呼びかけています。
途上国での学校給食支援活動を行っている世界食糧計画は「7億ドル以上の寄付が緊急に必要となっている。集まなければ、数週間のうちに児童40万人に対する給食事業を打ち切らなければならない」と警告しています。
今回の最高執行理事会は募金と緊急支援を急務としています。
食糧危機の長期的な解決法として、貧困国の農業生産力の向上を中心に、現行の国際貿易体制を改正し、先進国の農業補助金を廃止し、食糧価格の公平な構造を構築すべきです。
また、後発開発途上国では農業の生産率が先進国の50%に留まっています。
先進国は途上国に農業知識を伝授し、食糧生産力を開発する必要があります。
また、農業分野と関連する研究活動への支持を拡大し、遺伝子組替作物やバイオ燃料による影響を慎重に検討しなければならないと見られています。
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