アメリカのライス国務長官は先月29日夜イスラエル入りし、30日にはオルメルト首相と会談しました。
また、イスラエルのバラク国防相、パレスチナ自治政府のファイヤド首相と三者会談を行いました。
その後、ライス国務長官はヨルダンの首都アンマンに移動して、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談しました。
ライス国務長官は5月に予定されるブッシュ大統領の中東訪問を前に、和平交渉を推進し、意味のある一歩を踏み出すようパレスチナとイスラエルに求めています。
中東和平交渉の年内妥結を確信しているライス国務長官は、「目標達成は可能である」と語りました。
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長も「和平交渉の年内妥結は可能であり、パレスチナ、イスラエル、アメリカなど関係諸国は平和の実現に向けて、努力していく」と述べました。
また、イスラエルのオルメルト首相は「交渉の年内妥結のために尽力する。交渉に参加する政府要員は努力を続けている」と述べました。
30日の三者会談でイスラエルのバラク国防相とパレスチナ自治政府のファイヤド首相は、ヨルダン川西岸地区におけるパレスチナ人の移動制限を緩和させることで合意しました。
これは中東和平交渉が去年11月再開されて以来、初めての実質的な進展です。
ライス国務長官は「これは、パレスチナ人の生活状況を改善するだけでなく、イスラエルの安全保障にも有利だ」と評価しました。
また、31日、パレスチナのアッバス議長は、4月7日にイスラエルのオルメルト首相と会談を実施すると発表しました。
ハマスによるガザ地区からイスラエルへ向けたロケット弾攻撃が頻繁化したため、パレスチナとイスラエルのハイレベル協議は3月2日以降停滞しています。
アッバス議長とオルメルト首相の会談再開は中東和平交渉の正常化を意味しています。
去年11月アメリカのアナポリスで開催された中東和平国際会議で中東和平交渉の再開が決定され、イスラエルとパレスチナはブッシュ大統領の任期が切れる2009年1月までに和平協定を締結することで合意しました。
しかし、国境線の画定、エルサレムの帰属、パレスチナ難民の帰還権という3つの大きな問題を前に、対立を緩和することができず、交渉は進展が見られませんでした。
また、ハマスによるイスラエルへのロケット弾攻撃が頻繁化し、イスラエルが占領するパレスチナ領土でユダヤ人入植地の住宅建設が拡大したため、中東和平計画であるロード・マップの第1段階の内容さえ履行されていないのが現状です。
31日、ライス国務長官と会談した後、イスラエルのオルメルト首相は「東エルサレムとヨルダン川西岸のユダヤ人入植地における住宅建設を推進していく」と述べました。
これに対し、ライス国務長官とパレスチナ自治政府はいずれも批判しています。
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