アフリカ中部のチャドで反政府軍が2日、首都ヌジャメナに侵攻し、3日、市内で政府軍と交戦を続けています。
チャドは1960年にフランスから独立して以来、不安定な政治情勢が続いています。
1990年、軍のイドリス・デビ司令官がクーデターを実行し、ハブレ大統領が率いる政権を転覆させ、3月に大統領に就任しました。
デビ大統領は1996年、2001年、2006年と三選を果たしました。
任期中、デビ大統領は反政府勢力を掃討する一方、政治的交渉を続けてきました。
しかし、2005年10月、政府軍の一部が反乱を起こして、東部地域で反政府勢力を結成し、政府軍と対抗してきました。
2006年4月、反政府勢力は攻勢を展開し、首都ヌジャメナ周辺までに攻撃しましたが、政府軍に撃退されました。
2007年10月、チャド政府は「民主主義及び開発発展のための連合(UFDD)」など複数の反政府勢力と和平協定を結びましたが、1カ月後、交戦が再開されました。
12月、反政府勢力は連携を行い、この2月始め、首都市内に入りました。
一方、フランスは旧宗主国としてチャドの情勢に大きな影響力をもっています。
フランスはチャドで1200人規模の部隊を駐留し、兵器、訓練、情報、兵站、医療などでデビ政権を支持してきました。
しかし、サルコジ大統領が就任して外交政策を調整しました。
フランス政府は「アフリカ諸国での軍事的行動は国連或いはアフリカ連合の承認による平和維持にとどまり、国内紛争に干渉することはない」と主張しています。
チャド反政府軍の首都進攻を受け、フランス政府は「デビ政権を支持するが、戦闘には参加しない」と明らかにしています。
チャド駐留のフランス軍はフランス人の保護とチャド政府への情報提供にとどまっています。
また、EUは3日ブリュッセルで会議を開き、チャド情勢を検討しましたが、平和維持部隊の派遣について具体的な日時を決めませんでした。
世論は「フランスなどのEU諸国はスーダン政府に接近するチャド政権を容認することはあり得ない」としています。
チャド東部はスーダン西部のダルフール地方と隣接し、反政府勢力の活動が頻繁に行われ、長年にわたって不安定な情勢が続いています。
両国はこれまで「反政府勢力を支援している」と、互いに非難を繰り返しています。
西側のメディアは「チャドの反政府勢力が政権を握れば、スーダン政府に接近し、ダルフール問題でスーダン政府による暴力を拡大させ、人道的な危機を更に深刻化させるだろう」としています。
西側諸国も「スーダンに接近するチャド政権が登場すれば、西側は中部アフリカにおけるこれまでの影響力を失う。更に、アフリカ諸国の政権に対する西側の影響力は脆弱化するだろう」と憂慮を示しています。
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