今月22日と23日、フランスのサルコジ大統領、オーストラリアのラッド首相、イタリアのプローディ首相が相次いでアフガニスタンを訪問しました。
三カ国の首脳は、クリスマスを前に、アフガンの国際治安支援部隊に派遣している自国の軍隊を見舞いました。
これまでの2年間、国際治安支援部隊では、330人以上が死亡し、部隊を派遣している国では撤退要求が高まっています。
アフガニスタン国内の治安情勢は依然深刻で、フランス、イタリア、オーストラリア3カ国の首脳は今回の訪問でいずれもカルザイ大統領への支持を表明しました。
現在、アフガンに駐留している国際治安支援部隊はおよそ5万人に達し、4年前の3倍となっています。
これにもかかわらず、アフガニスタンの治安情勢は好転していません。
アフガニスタン担当のケーニッヒス国連事務総長代表は10月15日、安保理に対して報告を行い、今年、アフガニスタン国内でのテロ件数は去年より30%増え、死者は6000人を超えたことを明らかにしました。
オーストラリアのフィッツギボン国防相は今月14日、イギリスのエディンバラで開かれた国防相会議で発言し、「NATOはアフガンでの軍事行動と民生についての計画を全面的に見直すべきだ。方策を転換しなければ、失敗に終わるだろう」と警告しました。
カルザイ大統領は21日、「アフガニスタンでは破壊が非常に深刻で、復興まで予想以上の時間がかかる。少なくとも今後10年、外国軍隊の支援が必要である」と明らかにしました。
今回のアフガン訪問で、フランス、イタリア、オーストラリア3カ国の首脳はいずれも、政治、軍事そして財政の長期的な支援を約束しました。
サルコジ大統領は「フランスは軍の撤退を計画せず、数週間のうち、部隊の増派を決定するだろう」と述べました。
ラッド首相は「オーストラリアは部隊の駐留を延長し、アフガン中部ウルズガン州の再建に9500万ドルを支援する」と発表しました。
プーローディ首相も「イタリアは支援を延長する」との姿勢を示しました。
アメリカのブッシュ大統領は20日、「アフガンで民主を実現するには時間がかかる。アメリカは、駐留を堅持していけば、成果を収めると盟友を説得する」と、NATO加盟国の軍撤退に憂慮を示していました。
フランス、イタリア、オーストラリア3国首脳のアフガン訪問はブッシュ大統領の憂慮を解消したものと言えます。
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