中国西部の都市、重慶は、ここ数年、生態環境の総合的な整備に取り組んでいます。投資プロジェクトに対しては、厳しく環境保護について審査を行うとともに、その土地ならではの特色を生かして、環境に配慮した経済発展を図り、優れた環境や、経済面の成果を収めました。
北碚区は重慶の西北部にあり、嘉陵江に面しています。豊かな自然に恵まれ、重慶の「酸素倉庫」とも呼ばれています。数年前、ある企業がここの石灰岩資源に目をつけ、10億元を投資して大型セメント工場を作る計画を立てました。しかし、一連の環境影響評価を経た後、北碚区はこの企業を拒否しました。これについて、北碚区の黄波書記は、「経済成果と環境問題が対立すれば、迷わず環境保護を選ぶ」と述べた後、さらに「われわれの調査によれば、このプロジェクトの生産価値は大きいもので、税収も多い。しかし、いろいろと検討した結果、セメント工場を作れば、周辺の植物や生態環境を破壊する恐れがあった。ほこりなどによる汚染も懸念された。そのため、このプロジェクトを拒否した。資源には限りがある」と語りました。
北碚区では、企業などのプロジェクトは騒音や排出ガス、廃水、廃棄物などの総合評価に合格して初めて実施できます。エネルギー消費が高く、汚染の激しい企業は拒否されます。また、技術が遅れ、資源の無駄遣いが多い企業を閉鎖したり、汚染を出さない製造技術を持つ企業を導入したりすることは北碚区政府が工業開発を進める上での重要な原則です。これについて、黄書記は「汚染をもたらすプロジェクトは要らない。新しい戦略的チャンスに、発展を期待する気持ちは良く分かる。しかし、冷静に考え、科学的な発展観を堅持しなければならない」と語りました。
ここ数年、北碚区は環境を汚染する恐れのあるプロジェクトの投資を拒否しました。プロジェクトの総額はおよそ60億元に相当します。一方、竹の産地として、北碚区はその特性を生かして、生態産業の発展に取り組んでいます。
北碚区には、いま、400ヘクタールの竹林があり、今年末までに、数十もの竹類緑化プロジェクトを完成し、各種の竹300万本以上を植えます。これについて、都市部の緑化を担当する政府関係者の楊長春さんは、「栽培だけでなく、加工によって付加価値を高め、北碚区の経済発展、産業構造、農村の余剰労働力の活用に取り組んでいく」と語りました。
「竹加工に実力のある企業を誘致し、竹資源を開発する。一方、都市部の周辺や農村に広げていく。土地や資源の総合利用によって、農村の余剰労働力を活用する」と語りました。
北碚区の発展から、重慶が環境保全に取り組み、生態経済の発展に力を入れていることが分かります。
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