東北部の吉林省は、中国の重要な工業基地であり、国有企業が集中している地域でもあります。2003年からの東北経済新興戦略の実施に伴い、吉林省は省内の国有企業の改革を急ぎ、自主的革新による企業の発展を推し進めてきました。

　吉林省の中国第一自動車製造工場は省内で最大の国有企業の一つです。現在、この企業は株式組織改革を進めており、中国第一自動車グループを設置しました。これにより、元の企業から多くの部門が分離され、独立採算の子会社も設立されました。

　啓明情報技術有限公司は、元の企業の情報管理部門から分離された会社です。この会社は、設立後、PDMといわれる製品情報管理システムの開発に取り組んでいます。2001年、啓明社は科学技術研究機構と提携し、2年間にわたって独自の知的所有権を持つPDMシステムを開発しました。これは、国内の自動車製造業において数千万元ものコスト削減につながり、会社自身にも巨大な利益をもたらしました。程伝海総経理は「企業の発展には、技術革新や新製品の開発は欠かせないものだ。われわれは、優位性を生かして、生産と研究を合わせた経営路線を獲得した」と述べました。

　啓明社と同じように、吉林天薬科学技術有限公司も自主的革新によって成長した企業です。漢方医薬は中国の伝統的なものですが、国際的に公認された西洋医学とは異なり、その発展は長年中国国内に止まり、国際市場への進出は果たせませんでした。そうした中、漢方医薬の面でたくさんの経験を持つ天薬社は、国際基準を満たす漢方薬の開発に力を入れました。2002年、天薬社は新たな薬剤成分分析法を導入し、国内外の医薬会から注目を集めました。この分析法が国際的に認められ、天薬社はたった数年間で、巨大な利益を上げました。

　天薬社はさらに、技術研究開発チームを立ち上げました。また、天薬社は毎年、政府から1000万元以上の助成金を受け、自らの先端技術を利用して中小の製薬企業を支援しています。これについて、曲連琴経理は「大胆な革新が鍵となる。伝統業界も国際的に進出することが出来る。これは、天薬の今後の路線だ」と語りました。

　自主的知的所有権に関するいくつかのプロジェクトを担当し、啓明社の技術革新にも関わった李徳昌教授は、東北工業基地の現状について「技術革新、そして自主的な革新こそ、企業の発展の鍵となり、東北部の振興の突破口になる」と語りました。

　企業を支援し、企業と研究機構との協力の場を作るため、吉林省は今年、『クリエイティブな企業創業孵化基地の建設に関する意見書』を打ち出しました。現在、吉林省は、自主的革新によって著しい成果を上げており、今年1月から9月までの、ハイテク産業による収入は計2500億元に達し、去年同期より17％増えたということです。自主的革新は吉林省の経済に新たな活力を注いでいます。（翻訳：コオリ・ミン）