旧ユーゴスラビア連邦のセルビア共和国の南部にあるコソボ自治州で17日、州議会選挙が行われました。
今回の議会選挙は自治州全人口の10%を占めるセルビア系住民と政党の大多数がボイコットし、投票率が最低となっています。
1999年から国連の暫定統治下にあるコソボ自治州は人口の90%がアルバニア系住民です。
今回の議会選挙は5回目で、投票所が2000カ所設置されました。
州議会の議員定数は120人、また、30の区議会と区長も選出されます。
選挙にはセルビア人政党を含め、合わせて25の政党が参加しました。
投票にあたって、EUの欧州委員会と欧州議会は選挙監視員150人余りを派遣しました。
コソボ現地の選挙監視員は2万5000人にのぼり、警察当局も7000人の警官隊を投入しました。
投票の終了を受け、国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)のジョアヒム・リカー(Joahim Riker)大使は17日夜、この日の治安情勢に満足の意を示しました。
一方、コソボ中央選挙管理委員会と国連コソボ暫定行政ミッション(暫定統治機構)は「有権者の投票率は45%に達せず、これまでの最低を記録した」と遺憾の意を表しました。
コソボ自治州の最終的地位をめぐる交渉で仲介役を務めたアメリカ、ロシアとEUは来月の10日までに、解決に向けた報告書を国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長に提出することになっています。
このため、アルバニア系住民は今回の議会選挙を極めて重視し、アルバニア人政党はいずれも独立を目指す選挙綱領を発表しました。
コソボ暫定自治政府のセイディウ大統領は「有権者は独立のために投票した」とし、チェク首相も「独立に向かう歴史的な時期にあり、選出された議会は来月10日までには機能をスタートすべきだ」と述べました。
また、最大野党のコソボ民主党のタチ党首は「今回の議会選挙はコソボにとって歴史的な意義があり、我々はコソボ住民によるコソボ管理を成功させることを世界に証明する」と述べました。
一方、今回の議会選挙はコソボ暫定自治政府の法的地位を認め、独立に向けた住民投票の意味合いが強いため、セルビア共和国政府とコソボのセルビア人政党は選挙へのボイコットをセルビア系住民に呼びかけました。
セルビア共和国政府はまた「国際社会は安保理決議1244号を着実に履行しておらず、コソボから流出したセルビア系難民の大多数が帰還していない。大多数のセルビア系住民にとって現地では最低の生活と治安すら保障されていない」として、投票に反対しています。
一方、新民主党や独立自由党など少数のセルビア系政党は、「選挙に参加し、議席を獲得してセルビア系住民の利益を擁護する」と主張し、また、投票に参加したセルビア系有権者は「コソボで生活を送っているため、隣人のアルバニア系住民と付き合わざるを得ず、共に生活していくべきだ」と話しています。
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