2001年10月7日、アメリカとイギリスの連合軍がアフガニスタンの旧支配勢力タリバンに対する空爆を実施し、アフガン戦争が始まりました。
これにより、アメリカ主導による世界規模の対テロ戦争が始まりました。
アメリカはアフガンでの対テロ戦争を利用して、中央アジア地域に浸透し、十数カ所の軍事基地を設置しました。
そして軍事協定を結び、軍備と経済支援を提供してNATOと中央アジア諸国との平和のためのパートナーシップを構築しました。
戦争でアフガニスタンはアメリカ軍の精密兵器の実験場となり、アメリカの兵器産業はにわかに景気がよくなりました。
2003年、アメリカはイラク戦争を開始しました。
対テロ戦争を契機に、アメリカは中央、西、南アジア地域で自国の戦略的利益を拡大しました。
しかし、戦争が終わったアフガニスタンとイラクでは社会的難問が山積してます。
この6年、アフガニスタンではヘロインの原料であるケシの栽培面積が拡大を続け、収穫量は世界の95%を占めています。
タリバンは麻薬の密輸を資金源として勢力を拡大し、去年から政府や外国駐留軍への攻撃と支配区域を拡大しています。アフガンの北部と首都カブールでも自爆テロが頻繁に起きています。
国際テロ組織「アル・カイダ」を率いるビン・ラディン氏の身柄拘束も実現できていません。
アメリカ主導の対テロ戦争は軍事的手段を重要視し、アフガンの再建に十分な支援を与えず、国際社会が約束した130億ドルの支援も全額付与されていません。
テロリズムや麻薬取締りなど世界の新しい安全保障分野で、アメリカの軍事手段は功を奏さず、タリバンはイラクの反米勢力と同様の攻撃方法をとって、自爆や道路上の爆発による攻撃を頻繁に行っています。
外国駐留軍はタリバンへの掃討作戦で空爆を主な手段としたため、民間人の死傷者が増え、反米感情が高まり、政府への信頼と支持にマイナスの影響を与えています。
また、空爆を受けた標的区域での掃討作戦が徹底できていないため、軍事攻撃は十分な効果を挙げられていないと指摘されています。
アフガンの警察と軍は作戦能力の不備で機能しておらず、行政の腐敗と効率の悪さで国民の生活レベルは向上せず、政府への不満が拡大しています。
ブッシュ政権はテロ対策を利用して世界での影響力拡大を狙い、戦略的空白を埋めていますが、それに伴う人権と主権に対する侵害はアメリカの安全保障にとって脅威となり、負担も増大しています。(ジョウ)
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