中国の最高立法機関である全国人民代表大会常務委員会は、このほど、北京で会議を開きました。この会議で、省エネや環境保全に関するいくつかの法律草案が審議されました。そのうち、最も注目されたのは循環経済法草案です。循環経済法が実施されれば、中国の資源利用効果の向上や、環境の保護と改善、持続可能な発展にとって重要な役割を果たすと見られています。
改革開放を実施して以来、中国では経済が持続的かつ急速に発展を遂げたものの、経済発展と資源環境の矛盾は日増しに深刻化しています。資源利用効率が低いことがこの局面を作り出した主な原因です。循環経済の役割と関連法の制定について、中国全人代環境資源保護委員会の馮之俊副主任は「まず、循環経済を発展させる目的は経済発展のためであり、新しい資源を提供するためである。また、汚染物の排出を効果的に減少させるたり、経済成果を向上させたりする上でも重要である。循環経済を発展させるには、法律に基づいて、資源と環境を保護すると共に、資源の節約と環境改善に対する支援を保障することだ。このため、循環経済法の制定は非常に重要だ」と述べました。
循環経済法草案は、汚染物の減少や再利用などを主な内容としています。具体的には資源の浪費や汚染物排出の抑制、生産者を主とする責任制度の制定、エネルギーや水を多く消費している企業に対する管理の強化、産業政策の規範化とそれに対する指導の強化、奨励措置と法的な責任の強化などに及んでいます。
世界における循環経済に関する立法活動は20世紀末から、主にドイツや日本、EU・欧州連合の先進国で展開されてきました。先進国の循環経済法は、リサイクルと資源化を重視しています。つまり、生産や流通及び消費における資源の消耗や廃棄物の削減ではなく、廃棄物の資源化とリサイクルに重点を置いているのです。一方、中国が今回提出した草案は、廃棄物削減を優先する原則を堅持しています。これについて、馮之俊副主任は「西側の先進国は循環経済を発展させる上で、廃棄物のリサイクルを重視している。しかし、我が国は工業化の高度成長段階にあるから、エネルギーの消耗も高く、資源の浪費もひどい現状だ。このため、廃棄物の削減、つまり資源の利用効率を上げ、節約することを重視しなければならない」と述べました。
これにより、エネルギーや水資源を多く消費している企業への管理が、草案の重要な内容となっています。草案では、国は、鉄鋼、非鉄金属、石炭、電力、石油化学などの業界に対し、重点的な管理制度を実施すると定めています。特に重点企業は、国と業界の基準に従ったエネルギー・水資源の消耗基準を制定すると共に、関係政府部門も、審査・検証作業や政策面での指導を強化しなければなりません。
また、循環経済を発展させるため、中国は関連法案に基づいて、奨励メカニズムを設置しています。これについて、馮之俊副主任は、「循環経済発展基金の設置、大きな技術開発プロジェクトへの財政面での支持などのほか、税収面での優遇政策や費用徴収政策などの措置が含まれている」と語りました。
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