アフガニスタンのカルザイ大統領は5日、アメリカを訪問し、メリーランド州にある大統領山荘キャンプデービッドで、ブッシュ大統領と会談を始めました。双方は2日間の日程で、イスラム原理主義武装勢力タリバンによる攻勢の激化、韓国人拉致事件、一般市民の死傷者が増えている問題、およびアフガニスタンでの麻薬栽培問題などについて話し合っています。
今回の会談についてアメリカホワイトハウスの係官は、「仲間同士のプライバシーの下での戦略会談」であるとし、ブッシュ政権は会談で、カルザイ政権に対する"揺るぎない"支持を改めて強調すると述べました。その一方、世論は、アフガニスタンに対して、100億ドルの支援を提供し、2万人あまりのアメリカ軍の駐留を維持するとともに、ホワイトハウスは、カルザイ政権に対して治安や麻薬取締りについてより厳しい措置の実施を要求するだろうと見ています。
5日から始まった会談では、タリバンへの対応や韓国人人質の救出が、もっとも重要な話題となっています。
まず、タリバン問題への対応について、カルザイ大統領は、交渉の重要性を主張しています。カルザイ大統領は、韓国人人質の解放に向けて、タリバンに対してアフガニスタン政府との和解を呼びかけたり、一部の宗派に交渉の斡旋を求めたりして努力してきました。カルザイ大統領の努力は、アフガニスタン人から支持されていますが、アメリカ政府から反対されています。とくに、韓国人人質問題では、ホワイトハウスは、人質解放のためには、タリバンに圧力を加えなければならないと主張しています。
タリバンの攻勢の激化を受けて、アメリカの外交関係者はこのほど、「カルザイ政権は、首都カブール以外の地区で威信を獲得し、タリバンの影響を受けやすい地区で、民衆に治安の安定とよりよいサービスを提供すべきだ」と指摘しました。
アフガンの一般市民の死傷者も問題は、カルザイ大統領とブッシュ大統領が話し合うもう一つの重要な問題です。現在、アフガンに駐留しているアメリカ軍は、タリバンの武装勢力を攻撃する中で、多くのアフガン市民の死傷者を出しました。これはアフガンの一般市民の反米感情を高め、カルザイ政権に対する国民の信頼と支持にマイナスの影響を与えました。このため、カルザイ大統領は、米軍が一般市民の死傷者を出したことをたびたび厳しく批判するとともに、NATOのアフガン駐留部隊の指揮官に、もっと慎重に軍事行動を行うようと注意を促しました。しかし、ホワイトハウスのスコット・スタンゼル副報道官が表明した態度から判断すると、アメリカはこれを真剣に取り扱っていないようです。スタンゼル副報道官は、「米軍はアフガンの民衆の死傷者を出さないよう最大の努力を払っている。これについてブッシュ大統領は満足している」と語りました。
ところで、双方が話し合った三つ目の重要な問題は、ここ数年アフガンで、麻薬をとるためのケシの栽培が復活していることです。アメリカのAP通信の報道によりますと、現在世界中で生産されるヘロインのためのケシの95%はアフガンで取れたもので、ケシの栽培量はタリバン政権が倒された後、最高となりました。これまでアフガンでの麻薬取り締まりを重視してこなかったアメリカ政府は、タリバンが麻薬取引による収入を勢力の拡大に使っていると懸念を深めています。
ところが、双方は、麻薬を取り締まる方法について食い違いが存在しています。アメリカは、飛行機で除草剤を撒くことや、ケシに代わる農作物の栽培を進めることを主張していますが、カルザイ政権は、こういう無理やりなやり方について、農民と国民がアフガン政権への反対を激化させる恐れがあることを理由に反対しました。関係者は、双方が麻薬の取り締まり方法について考えが一致することは難しいと分析しています。
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