国際テロ組織アルカイダのナンバー2とされる人物ザワヒリ氏は10日、「当組織は、『悪魔の詩』の作者ラシュディ氏にナイトの爵位を授与したイギリスに報復する」と語りました。こうした発言は初めてではありません。しかし、このほど、ロンドンで発生したテロ未遂事件及び、グラスゴー空港のメインターミナルビルにジープが突入し、炎上した事件を受けた発言であるから、イギリスではテロ取締りがより厳しくなることが予想されます。
イスラム過激分子がよく利用しているウェブサイトで10日、ザワヒリ氏のビデオ講演が20分に渡って流れました。ザワヒリ氏は話の中で、イギリスがラシュディ氏へ爵位を授与したことはイスラム教に対する侮辱だとして、「アルカイダはこれに対し明確な対応を行う。イギリスのブレア前首相の中東戦略はイギリスに大きな災難をもたらした。こうした災難はイラクやアフガニスタンだけでなく、ロンドン市内でも発生している。ブラウン首相がこのことをはっきり認識するまで対応を続ける」と述べました。
イギリスのマスコミの多くは、このほどロンドンで発生したテロ未遂事件とグラスゴー空港ターミナルビルで発生したテロ事件に触れました。6月29日、ロンドン中心部繁華街2ヶ所で車両爆弾が発見されましたが、警察と爆発物処理専門家が素早く対応したため、テロは未遂に終わりました。しかし、翌日グラスゴー空港ターミナルビルで車両突入事件が発生しました。この二つの事件発生後、イギリス安全部門はテロの警戒レベルを最高度の緊急危機状態に引き上げました。これと前後して、警察側はイギリスとオーストラリアで8人の容疑者を逮捕しました。この8人はいずれもイギリス公立病院で仕事をしている外国籍医師です。これら良好な教育を受けた人々がテロリストに変身したことは、イギリス国民にとって受け入れられないことでした。地元の新聞は「医療保障システム内のテログループ」や「邪悪な医者」と言うタイトルで記事を載せました。これに対し、イギリス政府も高度な警戒態勢を敷き始めています。ブラウン首相は4日、「イギリスの医療保障システムでは人員の募集手続きを新たに見直し、移民雇用者はより厳格な審査を受けることになる」と発表しました。
現在、この2つ事件に対する処理はすでに法的段階に入り、一人目の容疑者がすでに起訴されました。イギリスのテロ警戒レベルも一つ下がりました。しかし、この矢先、ザワヒリ氏が再び現れ、その矛先を直接にイギリスに向けました。現在そのかかわりが必然的なものであるかは確定できませんが、ブラウン首相が国民に警告したようにイギリスは依然として厳しい脅威に脅かされているのです
ザワヒリ氏のビデオ講演がウェブサイトで流れた後、イギリス首相官邸の報道官は直ちに、「テロリストがイギリスの生活様式を破壊することは絶対に許せない」と表明しました。また、イギリス外務省の報道官は、「イギリス政府は、イギリス本土や海外の目標をアルカイダなどのテロ襲撃から保護するため、国際テロリズムの取締りを優先的に考慮する」と述べました。
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