EU（欧州連合）委員会の提唱による国際バイオエネルギー大会が5日、ブリュッセルのEU本部で開幕しました。2日間にわたる会議の期間中、世界各国の政府関係者や、産業界、学術界、非政府組織の代表たちは国際バイオエネルギー貿易の発展、バイオエネルギーと環境、バイオエネルギーと発展途上国、バイオエネルギーの研究現状と見通しなどの議題をめぐって討議します。

　バイオエネルギーは主にバイオディーゼルとバイオアルコールを指します。バイオディーゼルは油菜の種など、農作物の種から抽出したもので、バイオアルコールは小麦やトウモロコシなどの穀類や、サトウキビなどから抽出したものです。いま、この分野ではEUとアメリカが最先端を行っています。EUは今年3月、エネルギーと気候の保護に関する総合的な行動計画を採択し、2020年までに、バイオエネルギーがEUの交通エネルギー消費に占める割合を10％に引き上げるという目標を立てました。また、アメリカのブッシュ大統領は1月に発表した一般教書の中で、バイオエネルギーの使用を提唱し、2017年までにガソリンの使用量を2割減らす目標を打ち出しました。予測によりますと、2016年になると、EUのバイオディーゼルとアメリカのバイオアルコールの年間生産高はいずれも2006年の倍以上になる見込みです。

　バイオエネルギーの生産に欠かせない農作物はどこで確保するのでしょうか。土地が少ないわりに人口の多いEU諸国では、バイオディーゼルの普及には大きな代償が必要となります。政府は毎年、油菜を栽培する農民たちに巨額の補助金を与えなければならず、クリーンエネルギーの開発コストが高くなっています。これは、EUが今回の国際大会でバイオエネルギーの国際貿易システムを確立しようとする根本的な目的でしょう。一方、世界一の食糧生産国であり、輸出国であるアメリカはバイオアルコールの普及に取り組み、多くの食用農作物は燃料として使われました。そのため、アメリカからの食糧輸入に頼っている国は食糧不足の脅威にさらされています。統計によりますと、いま、アルコールの生産に使われているトウモロコシはアメリカのトウモロコシ生産高の20％から25％ぐらいを占めています。アメリカが生産したすべてのトウモロコシと大豆を燃料として使ったとしても、アメリカ国内のガソリン需要の12％とディーゼル需要の6％しか満たせないということです。

　経済協力開発機構と国連食糧農業機関が発表した『2007年から2016年の農業予測報告書』によりますと、バイオエネルギー生産の急速な増加によって、穀物や植物油原料、糖類作物などの需要がどんどん増え、農産物の価格も高騰しています。これは農産物輸入国の貧困人口に影響を与える恐れがあると警告しています。（07/07　翻訳者：劉叡琳）