アメリカのブッシュ大統領は現地時間4日、ウェストバージニア州のマーチンズバーグにある州兵基地でイラク情勢をめぐり、講演を行いました。
ブッシュ大統領は「勝利するにはこれまで以上の忍耐、勇気と犠牲が必要となる」と呼びかけました。
これを受け、国際問題アナリストは「独立記念日にイラク政策への支持と犠牲を国民に呼びかけたことは、ブッシュ政権がイラク問題で直面している圧力が増大していることを示している」としています。
ブッシュ大統領は「イラク情勢の困難を問わず、アメリカは必ず勝利を収める。イラク戦争とイラクへの兵員増派はアメリカの安全保障にとって極めて重要であり、かつ正しい政策である」とし、対テロ戦争への支持を国民に求めています。
しかし、アメリカ国内ではイラク情勢に対し、悲観的な見解をもっている国民が増えつつあります。
CNNテレビは先週、ブッシュ政権のイラク政策へ国民の支持率がこれまで最低の30%に低下したと発表しました。
イラク情勢は好転が見られず、駐留アメリカ軍の死傷者数の増大と治安の混乱が続いていることは、ブッシュ政権へアメリカ国民の不満を拡大させ、批判を助長しています。
来年の大統領選挙に出馬を表明したヒラリー上院議員は「イラク戦争はブッシュの戦争だ。ブッシュは戦争を発動し、エスカレートさせ、それを終わらせない。ブッシュは責任を持つべきだ」と強く批判しました。
同じく大統領選挙に出馬を宣言した民主党のオバマ上院議員は「当初、議会がイラク開戦決議に賛成したことは間違いだった。国際テロ組織『アル・カイダ』への壊滅作戦でイラク戦争はアメリカの力を分散させた。イラクでのアメリカ軍の行動は『アル・カイダ』の勢力拡大を助長した。『アル・カイダ』は中東諸国へのテロリスト派遣を始めた」と指摘しています。
また、民主党のジョン・エドワーズ元上院議員は「ブッシュ政権の対テロ戦争は政治スローガンに過ぎず、イラク開戦の口実だ」と非難しています。
大統領選挙を来年に控え、候補者たちにとってイラク問題は避けて通れないものとなっています。
国民の支持を狙い、共和党内でもブッシュ政権と一定の距離を置く候補者が出ています。
そのうちの1人、マサチューセッツ州のロムニー前州知事は「イラク戦争は十分に準備ができていなかった。フセイン政権が崩壊した後、計画は混乱した」とブッシュ政権のイラク政策を批判しました。
さらに、外交問題に精通し、これまでブッシュ大統領を支持してきた共和党の有力議員リチャード・ルガー氏は先週、上院で「イラクへの今回の兵員増派は成功しないだろう。ブッシュ大統領は議会と協力し、イラク政策の転換を検討すべきだ。早く計画しなければ、将来、情勢の一層の混乱そして悲劇を招くだろう」と警告しました。
これを受け、アメリカの国内メディアは「世論の圧力で共和党内でイラク政策をめぐる亀裂が表面化し、ブッシュ大統領は孤立している」としました。
(ジョウ)
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