ゲーツ国防長官は19日バグダッドに到着した後、ヘリコプターに乗ってファルージャに移動しました。そして、イラク駐留多国籍軍のペトラウス司令官をはじめとする高官と会談を行い、イラクの治安情勢について話し合いました。20日には、イラクの指導者と会い、イラク国内の治安情勢、民族和解プロセスの推進などについて意見を交わします。

　これは、ゲーツ氏が去年12月に国防長官に就任して以来、3度目のバグダッド訪問となります。また、アメリカがイラク駐留軍を増員し、バグダッドの新治安計画が定められてから初めての訪問でもあります。ではなぜ今この時期の訪問なのでしょう。

　まず、イラクの治安状況がさらに悪化していることがその原因の一つです。ゲーツ氏のイラク訪問の目的はイラクの治安がなぜ悪化しているかを調査して、アメリカのイラク新治安計画の実施状況を再検討することです。ゲーツ国防長官がバグダッド入りした日、市内中心部では自動車の爆破事件がおき、少なくとも10人が死亡、21人が負傷しました。またその前日にもバグダッド市内で爆破事件が起きて、140人が死亡、150人が負傷しました。1週間前に、武装勢力がイラクでもっとも安全なところと見られていたイラク国民議会の建物に入り、議員3人を殺害しました。各武装勢力は今のところいずれも和解する意思がありません。アメリカの新治安計画が実施されて2ヶ月あまりになりますが、相変わらずテロ事件が頻発しています。イラク問題は軍事手段を通して解決できるのか、また、駐留軍増強の結果はどうか…。これらの問題はゲーツ国防長官が今回の訪問で検討する主な内容となります。

　それから、アメリカがすでに2ヶ月あまり実施してきた新治安計画への支持を表し、イラクの指導者による和解プロセスを促進することが訪問のもう一つの目的です。テロ事件の発生を食い止め、イラクの安定を回復するために、ゲーツ国防長官はイラク指導者、そして駐留アメリカ軍の高官と討議を行います。17日、ゲーツ国防長官はヨルダン訪問の際、「イラクからの軍撤退の期日を定めることを拒否する。それは間違いだ」と語りました。

　ゲーツ国防長官は17日からヨルダン、エジプト、イスラエルを訪問しました。イラク問題は中東訪問のポイントだと見られます。18日、カイロでエジプトのムバラク大統領と会談を行った際「各国はイラク政府を支持し、イラク国内の平和を実現しよう」と呼びかけました。 （04/20　翻訳：殷絮）