中国国務院の温家宝首相は11日から、日本に対する公式訪問を開始します。中国の首相の日本訪問は7年ぶりとなります。今回の訪問に先立って、温首相は日本メディアの合同取材を受けた際、これを「氷を溶かす旅」と位置づけ、大きな期待を示しました。
まもなく行われる日本訪問に先立って、温首相は日本経済新聞、朝日新聞などの日本メディアの記者団に対し、「私は、今回の訪問が『氷を溶かす旅』となることを期待している。両国関係の発展を促すため、日本の指導者と両国関係における重要な問題について共通認識に達したい。また、日本の国民と触れ合い、日本のことをより多く知るとともに、日本の国民にも中国のことを知ってもらい、相互の信頼と友情を深めたい」と述べました。
今年は、中日国交正常化35周年であると同時に、日本軍国主義者が対中侵略戦争を発動して70周年でもあり、非常に特別な年です。歴史問題が再び取り上げられることは中日関係に影響をもたらすかどうかという記者の質問に対し、温首相は「周知のように、ここ数年、一部の日本指導者が第2次世界大戦のA級戦犯が祭られている靖国神社を何度も参拝したため、中国の人々の感情を深く傷つけ、両国関係に大きな損害をもたらした。私は、安倍首相が大局から出発し、今の中日関係の重要な転機を重視し、その約束を守り、両国関係の発展を促すことに努力していくことを希望する」と答えました。
温首相は、今回の訪日期間中、両国関係に関する新しい共同文書を出すことを明らかにしました。この文書には、中日両国が戦略的互恵関係を築いていくことに関する内容が盛り込まれます。
貿易協力は一貫して、中日関係発展の中で注目されるものです。統計によりますと、中日両国の貿易額は1972年の11億ドルから200倍近く増え、2006年には、2074億ドルに達したということです。温首相は記者会見の席上、今回の訪問期間中に安倍首相と共に両国のハイレベル経済対話の発足に関する会議を開き、双方の主催者や開催日時、場所、議題などを決めることを明らかにしました。温首相はさらに、「グローバル化という課題に直面している今、両国の協力を強化することは非常に重要である。協力分野について、私は、省エネ、環境保護、ハイテク技術、中小企業、金融、それに情報というキーワードを取り上げたい。中国は、対外開放政策を実施しており、日本との経済と貿易の協力についても、開放的な態度をとっていく。平等互恵を前提として、中国は日本との協力を強化していきたい」と語りました。
中国の飛躍的な発展は、全世界から、中でも、隣国の日本から、注目を浴びています。温首相は日本の記者に対し、「中国は自国の国情、伝統的な文化と国家制度に基づいて、平和発展の道を堅持することを決めた」と強調した上で、さらに「中国の発展は、他の国に対して脅威となるものではない。中国はまだ、発展途上国であり、覇権主義の道は歩まない。中国が先進国になるには、まだまだ努力しなければならない。また、たとえ中国が先進国になっても、覇権主義の道を歩むことはない」と述べました。
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