日本の安倍首相は13日夜首相官邸で、日本を訪問中のオーストラリアのハワード首相と日豪安全保障協力に関する共同宣言に調印しました。日本が安全保障の面で共同宣言を調印するのはアメリカ以外に初めてです。日豪安全保障協力に関する共同宣言は日米安全保障条約より弱いものですが、軍事分野における両国の協力を強化したものと言え、大きく注目されています。
日本のマスメディアによりますと、共同宣言の主な内容は、日本とオーストラリアの安全保障協力行動計画の制定、また、両国外相間及び国防相間の対話の強化、そして、2プラス2・つまり外務、防衛担当閣僚が参加する安全保障会議の定期的な開催が含まれています。共同宣言に基づいて、両国は国連改革やテロ対策、救済活動、犯罪の取締りなどでの協力を強化すると共に、自衛隊とオーストラリア軍との協力を強化し、政治や安全保障、経済などの分野における協力を通じて全面的な戦略的パートナーシップを構築していくことに合意しました。双方はさらに、「共同宣言は日米安保条約のように防衛協力を核心としたものではなく、災害救助や国連平和維持での協力を主とする」と強調しています。
世論は、「日本がこの共同宣言を差し迫って調印したのは、アジア地域で、軍事的な役割を果たす大義名分をもち、自衛隊が太平洋地域で思うままに活動できるよう、一日も早く「正常国」になりたいからだ。また、日米安保条約が防衛協力を中心に、防衛範囲を日本領土に限定していることも理由だ」と見ています。「周辺事態法」、「テロ対策特別法」では、アメリカに対する日本の軍事援助範囲がアジア太平洋地域及び全世界に広がりました。しかし、自衛隊の海外活動はアメリカの傘下から抜け出すことは出来ませんでした。日豪共同宣言によって、日本は自衛隊を派遣して、国際的な貢献を行なうことが出来るようになり、その行動範囲は日本国内に限定されなくなりました。
オーストラリアが共同宣言に調印したのは、主に、経済面を考慮しているからです。日本はオーストラリアの最大貿易パートナーであり、2005年両国の貿易総額は316億オーストラリアドルに達しました。オーストラリアから日本への輸出量は全体の20%を占めています。オーストラリアは主に牛肉や鉄鉱石、石炭といった農産物や資源を提供しています。しかし、日本の農場主は貿易の障壁が排除されることに非常に敏感で、オーストラリアからの農産物輸入の増加に不安を感じています。日本政府はオーストラリアとの自由貿易協定の調印に積極的な態度を示さなかった一方、オーストラリア政府は日本市場の拡大を希望しています。これを受けて、日本とオーストラリアの第1回自由貿易協定についての交渉が4月23日と24日、キャンベラで行われることになりました。
また、世論は「日本とオーストラリアの指導者は、軍事分野における協力の拡大は中国を意識したものではないとしているが、これを否定する専門家もいる」と見ています。
中国外務省の秦剛報道官は13日の記者会見で、「関係国が安全保障協力を強化するに当たっては、地域の利益を考慮すべきである。諸国間の相互信頼や、平和と安定の促進にプラスになるよう希望する」と述べました。
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