IAEA・国際原子力機関の理事会は8日、イランへの技術支援プロジェクト55件のうち、22件減らすと決定しました。
これは、IAEAの事務局が、国連安保理が去年12月23日採択したウラン濃縮関連活動を60日間以内停止するようイランに求めた決議に基づき提案したものです。
これら削減された技術支援プロジェクト22件のうち、4件は国家プロジェクトで、18件は地方協力プロジェクトです。
そしてこれら18件は医療衛生、農業など民需分野に属するものの、今度は凍結対象となりました。
ところで、IAEAはこれまで朝鮮とイラクの旧フセイン政権に対し、技術支援の凍結を実施しています。
外交筋によりますと、IAEAの理事会でアメリカ、フランスなどの西側諸国はイランへの技術支援項目の大規模減少を強く要求し、この点で発展途上国と激しく対立しました。
発展途上国は席上、「イラン核開発の平和目的は立証されていないものの、核兵器開発という証拠も発見されていない。こうした情況の下でイランに厳酷な制裁を実施することは受け入れられない」と見ています。
また、一部の途上国は「イランに対し強硬な措置をとれば、これが前例となり、発展途上国は自国の原子力発電所の建設でIAEAからの技術支援を得られなくなる」と憂慮しています。
イランのスダンニエIAEA駐在代表は「技術支援を減らしても、イランのウラン濃縮活動には影響せず、イランはウラン濃縮活動を計画通りに実施していく。しかし、イランの防衛方針には大量破壊兵器の開発などの内容はない」と明らかにしました。
また、イランの最高指導者ハメネイ師の国際問題顧問を担当するヴェラヤティ前外相は「IAEA理事会のこの決定は政治問題に左右されたもので、イランの核開発計画は影響を受けず、この決定は技術面では意義がなく、心理戦にとどまっている。イランは自力の開発によって核プロジェクトを実施しており、IAEAは問題解決では実質的な役割を果たしていない」と指摘しました。
この点について一部の世論も「イランの核開発は主に自国の技術に依拠しており、IAEAからの技術支援減少という"刺激"をうけ、イランは核開発を加速させる可能性がある」と見ています。
一方、別の世論は「IAEAの決定に関係各方面は異議を唱えてはいないが、理事国が全会一致でこれを承認したため、イランは国際社会でより大きな圧力に直面することになる。イラン政府のこれから対応は、これまでの核問題の行方に大きく影響し、情勢は不透明化していくだろう」と分析しているのです。(聶)
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