注目されている中国の『物権法』草案が8日、中国の国家最高権力機関である全国人民代表大会に提出されました。これに先だって、草案はすでに、全国人民代表大会の常設機構である全国人民代表大会常務委員会で7回にわたる審議を受けています。この法律は、中国の基本的な経済制度を堅持することを原則としつつ、国や団体、個人の物権に対し平等な保護を行うことを明確に定めています。
『物権法』は、財産関係を規定する基本的な民事法の一つです。全国人民代表大会常務委員会の王兆国副委員長は3000人近くの全国人民代表大会代表に対し、「『物権法草案』は中国の法律システムを支えるほどの役割を持っている、かけがえのない重要な法律だ」と説明しました。
中国の『物権法』は1993年から起草作業を始めたもので、あしかけ9年で、ようやく立法プロセスに入りました。その後、多くの審議を経て、さらに全文を公表し、各方面から、1万件余りの意見が寄せられました。今回、全国人民代表大会に提出された草案はすでに何度も修正され、学術界の討議の結果や民意などが集約されています。
王兆国副委員長は、『物権法草案』の立法原則を次の4つにまとめました。
「わが国の国情と実状を考慮して、基本的な経済制度を堅持し、全面的に表現すること。憲法と法律の規定に基づき、国や団体、個人の物権を平等に保護するとの原則を実行すると同時に、国有資産流失に対応するため、国有資産への保護を強化すること。現在の農村部に対する基本的な政策を全面的に把握し、農民の利益を守ること。実生活の中で規範化が必要な問題について、各方面の利益関係を協調し、社会の調和を促すこと」
『物権法』は人々の権利を平等に保護するという重要な原則を堅持する民事法です。これについて、王兆国副委員長は次のように述べました。
「国、団体、個人を問わず、法的に確定された財産の所有者であれば、その物権に対する平等な保護を与えるべきだ。しかし、国の安全と経済に関わる鍵となる重要な業界と分野においては、国有経済の調整力を維持しなければならない。これは、経済法と行政法によって定められる。」
この草案は、個人の合法的な収入、不動産、日用品だけでなく、個人の貯蓄、投資及び収益をも守ります。さらに、個人や団体による他人の合法的な財産に対する横領や破壊といった行為を禁じています。
また、『物権法草案』は、農地の保護に関する明確かつ厳格な規定を打ち出しており、土地収用の補助金の基準とプロセスを詳しく決めました。一方、現在、中国農村部の社会保障システムが完備されていないことを考慮して、草案は、土地請負経営権と住宅建設用地使用権の譲渡、抵当を開放しませんでした。
専門家は、「『物権法』を制定する上で難しい点は、中国の経済と社会の発展レベルの状況と改革発展のプロセスに対応することである。その成果を認めると同時に、改革の余地を置くことも必要だ」と考えています。
これから、全国人民代表大会の代表は13億人の中国人を代表して、『物権法草案』に対する全面的な審議を行います。
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