アメリカのチェイニー副大統領は2月下旬、アジア太平洋地域の日本、オーストラリア、オマーン、パキスタン、アフガニスタンなどの諸国を訪問しました。この訪問について、中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄氏がいくつかの視点から分析しました。
金燦栄氏は、チェイニー副大統領の日本とオーストラリア訪問は、この2カ国のイラク問題と朝鮮核問題に対する憂慮を軽減し、さらなる支持を得ようとしたものだと見ています。金氏は「現在、アメリカ国内ではイラクから軍隊を撤退するようとの声が高まっており、最も忠実な同盟国イギリスも一部の軍隊を撤退したため、アメリカはほかの同盟国から支持を求めようとしたものである。そこでまず訪問したのが日本とオーストラリアということだ。この二国とは朝鮮核問題についても協議しただろう。今回の訪問は成功したと思う」と話しました。
予想外だったのは、チェイニー副大統領は日本とオーストラリアを訪問中、中国の軍事力にもふれたことです。日本の安倍晋三首相と会談した際、「中国の軍事力と影響力の増大」が主な話題となりました。
また、アフガン問題でアフガニスタンとパキスタン政府に圧力をかけるため、チェイニー副大統領は、この二国を訪問したと金氏は分析しています。
さて、注目すべきなのは、オマーンへの訪問です。双方は、地域安全情勢やイラン核問題について意見を交換しました。アメリカ国会研究所が発表した報告によりますと、オマーンはアメリカ軍に対し、四つの空軍基地で給油、後方任務などを行うことを許可したということです。金氏は、「オマーンはイランと海を隔てた国で、戦略的地位が高いところだ」と指摘し、「率直に言って、年内の国際情勢で最も注目すべきなのは、アメリカとイランの関係だ。オーストラリア訪問中、チェイニー副大統領はイランとの交渉を改めて強調したものの、その他の選択も排除できないだろう」と語りました。
チェイニー副大統領の今回の訪問について、金氏は、三つの情報を読み取ったと話しています。
金氏は「まずは、この外交を通して、チェイニー副大統領がブッシュ政権における固い地位を約束された。また、国内外からの圧力を背景に、チェイニー氏はアジアの同盟国に頼りたいという傾向がうかがえる。そして、イラン問題でアメリカの動きは注目すべきだということだ」と語りました。(翻訳:藍)
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